怪談乳房榎
みなさん、こんにちは。
ブロガーのすい喬です。
落語やってます。
もう15年がたちました。
聴くだけの期間を入れればもっとだけどね。
高座で恥をかくのは大変ですよ。
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稽古した噺はいくつあることか。
みんな手帳につけてます。
今日、久しぶりに眺めていたら、そこにこの『乳房榎』があったというわけです。
聞いたことがありますか。
Youtubeにもあります。
三遊亭圓生のと、三遊亭三三、萬窓のリレーもの。
試しに聞いてみてください。
怖いよ。
これを隋分と稽古しました。
それなのに、タイトルをみた時、どんな噺だったか皆目忘れてた。
情けないね。
しかしそんなもんですよ。
悔しいので、あらすじを読み直しました。
そうしたらどんどん思い出すのです。
腹に入っているというのは、ありがたいもんだ。
前半と後半にそれぞれヤマがあります。
悪い奴が出てきます。
人間の欲
三遊亭圓生師匠のは実に2時間10分という長さです。
実際の噺はもっと長いんです。
最後は敵討ちまでいくのでね。
そうなると、3時間は超えます。
よく覚えるもんだ。
あらすじをちょっとだけご紹介しましょう。
江戸の絵師、菱川重信は元武士です。
妻おきせと真与太郎という赤ん坊と暮らしておりました。
そこに弟子入りしたのが悪漢、磯貝浪江です。
こいつが悪い。
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一見、良く気がつき手先も器用で評判は良いのですが、実はしたたかな男です。
ある時、重信は寺の天井画を依頼され、じいやの正介を伴い泊り込みで出かけます
その留守中、浪江は以前から好きだった菱川重信の妻、おきせにせまり、息子を殺すと脅して想いを遂げます。
俗に「おきせくどきの段」といいます。
圓生の描写は実に迫真のものです。
怖いね。
わざと胃けいれんを装って女二人が暮らす家に一泊させてもらい、その夜に事件が起きるのです。
しかしそこが男と女の道の不思議さ。
2人の関係が深くなっていくうち、おきせは浪江に好意をいだくようになります。
ここいらあたりの心理の襞は、学校じゃ教えてくれません。
重信暗殺
主人の重信が戻ってくれば、2人の仲は当然のように終わらざるを得ないのです。
そこで浪江は重信が「戻ってこない」ための算段を考えます。
師匠、菱川重信を殺してしまうということです。
浪江は暑いさなか、重信のいる寺へ陣中見舞いと称して訪ねて行きます。
天井画の雌龍、雄龍はあとは雌龍の片腕を描き上げれば完成というところでした。
浪江はじいやの正介を連れだして酒を飲ませ、金を与えて篭絡し、重信殺しを手伝えと脅迫するのです。
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寺に戻った正介は有名な落合の蛍見物に重信を誘いだし、大きな蛍が飛び交う中、飲めない重信に酒を飲ませ、上機嫌での帰り路、浪江は重信を襲い、その命を奪います。
ここは怖いよ。
すごく演じるのが難しいところです。
雄龍雌龍
じいやの正介があわてて、大変だと寺へ駆け込むと、殺したはずの重信が最後の雌龍を描き終え、落款を押しているところです。
そこで急に部屋の灯りが消え、その落款には血の痕がべったりとはりついていたのです。
この後、残されたおきせは磯貝浪江と再婚をしますが、因果はめぐりにめぐるのです。
やがて、おきせは浪江の子を産んだものの、乳が出ず、死なせてしまうことになります。
その頃からおきせは、重信の亡霊のたたりで乳房にはれ物が出来て苦しむようになり、ついには狂い死をするのです。
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この後のストーリーを知りたい方はどうぞ本を読んでください。
ちなみにこの乳房榎というのは板橋区赤塚にある古刹松月院に古くから伝わる樹なんだそうです。
そこからヒントを得て、名人圓朝がつくった話なのです。
もう1度最初からお稽古しなおさないと。
わすれちゃったよ。
じゃあね。