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「新老人の世紀」生老病死の苦しみに共感できる人生こそが明日への鍵

退職後みなさん、こんにちは。ここ数日、作家・五木寛之と円覚寺派管長・横田南嶺の対談集を読んでいます。数年前に出版されたものです。タイトルは『命ある限り歩き続ける』です。なるほど、人間は命ある限り歩かなくてはいけません。かつて人が生きるプロセ...
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【畑の向こうのヴェネツィア・仙北谷茅戸】イタリアの日常が愛おしい

イタリア大好きみなさん、こんにちは。ちょっとだけイタリアの話をします。2回行きました。あちこち歩きましたね。ローマは丸2日間くらい、ひたすらテクテクと。夏でした。暑くてね。しかしいいところです。映画でも有名ですね。「ローマの休日」の華やかさ...
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【畏饅頭】落語には人間心理のアヤが満ち溢れている【まんじゅうこわい】

畏饅頭みなさん、こんにちは。今回は高校の漢文の授業で習う笑い話『畏饅頭』を学びます。中国明代の笑話本『五雑俎(ござっそ)』や『笑府(しょうふ)』に原型があります。日本ではもっぱら落語の題材として扱われてきました。誰でも1度は聞いたことがある...
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「沈黙とことば」一見対立するようなものの中に濃密な関係が潜むという発見

会話の不在と沈黙の意味みなさん、こんにちは。今回はことばについて考えてみます。小論文を書くとき、「二項対立」を重視しなさいとよく言います。東洋と西洋とか、近代以降と近代以前とか、生と死など、いくらでもこの種のテーマはありますね。確かに、両者...
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「讃美歌」穏やかな音楽の響きに祈りの心が目覚める「タイタニック」

讃美歌みなさん、こんにちは。今回はちょっといつもと違う話をさせてください。讃美歌についてです。時々歌う機会がありますね。そうです。結婚式に呼ばれる時です。小さな紙に歌詞が印刷されています。曲は312番「いつくしみ深き」が多いようです。いつく...
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「JICA研修報告」ヴィクトリア滝の壮大さとザンビアの現実を見た

遠い国、ザンビアみなさん、こんにちは。今回は以前、JICAの研修ツアーで行ったザンビアの話をさせてください。JICAは政府開発援助のための機関です。名前を国際協力機構といいます。ザンビアはサハラ以南と呼ばれている位置にある国です。とにかく遠...
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「タテマエとホンネ」自分を持ちたがらない日本人「なにげに微妙」

はやり言葉みなさん、こんにちは。仕事柄でしょうか。生徒の使う言葉がとても気になります。時代の感覚がそのまま飛び出してくるからです。テレビの影響が強いのはよくわかります。しかしそれだけではないですね。最近はネットで使われている言葉も次々とはや...
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技術的特異点・シンギュラリティは本当にくるのか【2045年問題】

その日は来るのかみなさん、こんにちは。今回はシンギュラリティについて考えましょう。ここ数年、大学入試小論文にもこの問題は多く取り上げられてきました。AIとのセットで論じられることが多いようです。シンギュラリティ(技術的特異点)とは、AIなど...
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「野分の垣間見・源氏物語」嵐の後、六条院を見舞った夕霧は偶然継母を見た

野分の垣間見みなさん、こんにちは。今回は野分(台風)の後、父親(光源氏)の邸宅、六条院を見舞った長男、夕霧の心の動揺を書きこんだ情景を読みます。光源氏が35歳の時、六条の院が完成しました。六条院は4つの町に分かれています。太政大臣となった光...
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【祝婚歌】吉野弘の詩と詩経・桃夭にはあたたかな祝福の祈りがある

吉野弘みなさん、こんにちは。今回はなんとなく祝婚歌を取り上げたくなりました。日本にもたくさんの祝い唄があります。しかし今回はあえて近代の詩を紹介します。御存知の方も多いでしょうね。かつて出席した結婚式で聞いたことがあるという経験をお持ちかも...
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【シュタイナー学校】教育のあり方に疑問を持ち設立した希望の空間

教育問題みなさん、こんにちは。今回はミヒャエル・エンデについて書きます。彼の作品、『モモ』については以前記事にまとめたことがありました。手にとられたことがありますか。時間泥棒と戦った女の子の話です。その際、ちょっとだけ筆者のエンデが通ってい...
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【恐怖とは何か・岸田秀】自我を崩壊させる不安の塊りが怖さを助長する

恐怖とは何かみなさん、こんにちは。今回はユニークな評論を紹介します。精神分析学者として有名な岸田秀氏の文章です。最もよく知られた本は『ものぐさ精神分析』。考え方の根本は「人間は本能の壊れた動物である」とするものです。独自の唯幻論を長い間、展...
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【小論文・序列性】社会のタテマエが現実をこじれたものにする【病理】

序列性みなさん、こんにちは。今回は日本の病理について考えます。それは何かといえば、劣等感コンプレックスです。日本人は平等意識の強い民族です。みんな能力はそれほどかわらないと思っています。それなのに差が生じるということは、本人の努力が足りない...
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「待つのが苦しい」スマホが劇的に変えた現代人の行動様式

待つみなさん、こんにちは。今のスマホで何台目ですかね。その前のガラケーも何台取り替えたことか。隋分捨てましたが、まだ押し入れの奥に1つだけ入っています。なんとなく思い入れがありますね。大袈裟にいえば、魂が宿っているような気がするのです。その...
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角田光代『さがしもの』の世界に心惹かれる

別にどうってことない風景が広がる小説です。登場人物も若い。息苦しい現実の一部を少しだけ切り取ってまとめてある。人は死ぬまで生きなくちゃならない。切ない。日々を過ごすことの難しさも感じる。男がいて女がいて、気にいれば一緒に暮らす。時に相手がか...
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【ガラスの動物園】人間の哀しみを描写したアメリカ演劇の代表作

戯曲の魅力みなさん、こんにちは。今回はぼくにとって忘れられない芝居、「ガラスの動物園」を紹介させてください。タイトルを聞いたことがありますか。同じ芝居を何度も見るということは、そう滅多にあるものではありません。ぼくにとってそうした作品の一つ...
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「ハッカ油」脳内リフレッシュには強烈なペパーミントの香りが1番

ペパーミントシャワーみなさん、こんにちは。今回はちょっとミントの話をさせてください。こんな不思議な植物が世の中にはあるんですよね。ハーブの中でもことに有名なペパーミントです。駅へ行く途中の家にもたくさん植えてあります。時々、葉っぱを1枚頂戴...
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【やまなし・宮沢賢治】透明感に満ちた自然の豊かさを感じさせる童話

透明な童話みなさん、こんにちは。今回は宮沢賢治の童話を読みます。タイトルは「やまなし」です。小学校時代に習いませんでしたか。6年生の国語教科書に採用されて以来、多くの人に広く親しまれている短編です。何度読んでも不思議な味わいのある童話なので...
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【化粧とは何か】ナチュラルメークの女性たちが目立つ現代【変身願望】

化粧の本質みなさん、こんにちは。人間というのは不思議な生き物ですね。つい先日も旅行に出かけ、しみじみと若い女性たちの顔を眺めてしまいました。街中を歩いていても、同じように感じます。みなさん、それぞれ自分にあった服装を身につけていますね。髪型...
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「三島由紀夫の真実」潮騒と仮面の告白の美意識は地下で繋がっている

特異な生育環境みなさん、こんにちは。作家三島由紀夫の作品については、ここでもいくつか取り上げました。特に最後の小説となった4部作『豊饒の海』についてはかなり詳しく書いたつもりです。「輪廻転生」という思想とともに、能のワキに似た役割を果たす主...
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「星の音楽家」ミマスの持つ宇宙観が現代に響く「地球星歌」

ミラ中合唱部みなさん、こんにちは。音楽はいいですね。心身ともに疲れた時、心を慰めてくれるのは音楽です。今までどれほどの勇気をもらってきたことか。ジャンルは問いません。その時に聴きたい曲がベストです。昨年も新しい曲にたくさん出会いました。今は...
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【沢木耕太郎・深夜特急】身体の中が熱くなるホンモノの旅本はこれ

旅をして学ぶみなさん、こんにちは。若者といえば、かつてはバックパッカーとして世界へ飛び出ていったものです。最近はyoutubeを見て、旅行した気分になっちゃうんでしょうか。ぼく自身、夏の休みを利用して、1カ月ヨーロッパを歩いたことがあります...
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【村上春樹】短編・レキシントンの幽霊は喪失の悲しみが揺らめく逸品

短編の味わいみなさん、こんにちは。毎日何をしていいのか迷いながら暮らしています。時間をもてあまして、つい読書ということになります。昔読んだ本をめくってみるというのも、時間潰しの1つの手です。今日も村上春樹の短編をいくつか読んでみました。彼の...
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「教育格差」経済の視点から学力の問題に切り込む「コロナがあぶりだしたもの」

教育格差みなさん、こんにちは。今回は格差社会の問題を経済の視点からみていきます。教育予算に関するテーマです。諸外国に比べて日本の教育水準は非常に高いです。一時はPISAショックなどといわれ、日本の教育の未来に不安を投げかけました。日本人の多...
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「空海・最澄」密教と顕教の教えが2人の関係を引き裂いた「陳舜臣・司馬遼太郎」

空海・弘法大師みなさん、こんにちは。今回は空海・弘法大師の話をします。この人はさまざまな言われ方をしています。空海を理解するには格好の本があります。陳舜臣の『曼荼羅の人』と司馬遼太郎の『空海の風景』です。この2冊をぜひ読んでみてください。前...
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「マジョリティ・チェックの重要性」差別の深層を学び人権感覚を養う

アイデンティティの心理みなさん、こんにちは。今回は人権について考えましょう。難しいテーマです。この課題が正面から出題されることはあまりありません。しかしいろいろな形で関係のあるキーワードが出てきます。特にジェンダーフリー、障害者、いじめなど...
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【悟浄歎異・中島敦】沙悟浄の目から見た孫悟空・三蔵法師の真実とは

悟浄歎異(ごじょうたんに)みなさん、こんにちは。今回は中島敦の名短編を読みます。1942年、彼は中国の古典『西遊記』に題材を求め、この作品を発表しました。授業で扱った記憶はありません。学校ではもっぱら『山月記』がメインでしたね。しかしこの作...
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【タイの僧院にて】文化人類学者が素手で知った托鉢とアジアの純真

文化人類学とはみなさん、こんにちは。今回は異文化理解の視点から、何冊かの本をご紹介します。青木保著『異文化理解』(岩波新書)がそれです。久しぶりに読み返しました。筆者についてご存知ですか。文化人類学者です。元文化庁長官でつい数年前までは国立...
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【人新世の資本論】SDGsが大衆のアヘンならプランBは地球脱出か

人新世の資本論みなさん、こんにちは。今回は2020年9月に刊行されて以来、売れ続けている本の話をします。『人新世の資本論』がそれです。著者は経済思想学者、斎藤幸平氏です。新書コーナーへ行けば必ず最前列に並んでいます。こうした本がこれだけ読ま...
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【絵仏師良秀】芸術至上主義者の辿る道には死の匂いが常に漂う

火炎を描くみなさん、こんにちは。今回は必ず高校1年で習う『宇治拾遺物語』の中から代表作「絵仏師良秀」を取り上げましょう。覚えていますか。高校に入って1学期に習う単元にあります。燃え盛る火を見ながら、叫ぶ絵仏師良秀の姿には鬼気迫るものがありま...