【54字の原稿用紙】自分だけの物語として呟かれた密やかな楽しみは

54字の物語

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

先日図書館の司書の方とお話していたら、最近はこういう本を生徒が読んでいるのだと教えられました。

それが今回ご紹介する『54字の物語』です。

9マス×6行の小さな原稿用紙の中に、言葉が埋め尽くされています。

最初は以前はやった携帯俳句のようなものかなと思いました。

世界をごく手近なデバイスに封じ込める営みです。

しかししばらく読んでいるうちに、これは呟きだと感じました。

ツイッターの54文字バージョンとでもいえるかもしれません。

少なくとも派生系のなにかです。

出版しているのがPHP研究所というので、またびっくりしました。

ここは、あのパナソニックを設立した松下幸之助氏がつくったビジネス書をメインとする出版社なのです。

最初の1冊目を2018年に出版してから、かなりの年月が経っています。

すでに累計80万部を突破したとか。

それにしても『54字の物語』というのは面白いタイトルですね。

氏田雄介氏による短編小説バージョンとでも呼べばいいのでしょうか。

元々はインスタグラムから始まったそうです。

新しい時代の感覚に違いありません。

最初は「#インスタ小説」というタイトルだったとか。

そのうち、投稿が増え、今では多くの人に支持されています。

ルールはいくつもありません。

手軽だからこそ、誰でもがつい始めてみようかという気になるのでしょう。

基本ルール

作品の内容はその都度、決められているようです。

応募作品がジャンル分けされているのです。

『54字の物語』の基本的なルールはごくわかりやすいものです。

①文字数を54字ぴったりに収めること
②句読点やカギ括弧も1文字にカウントすること
③最初の空白、!?のあとの空白はなし
④アイデアによっては例外もあり

なぜ54字なのかについては明確な理由があります。

全てインスタグラムで楽しめるようなテキスト作品をつくりたいというのがキッカケだったのです。

短いだけに大変読みやすいです。

それでいて、ストーリーをそこに注入することが可能です。

誰でもが気軽に自分の世界を創造できるというところが、読者のニーズと合致したのでしょう。

そこで、いろいろと試行錯誤をした結果、画像でもあり、文章でもある54文字に到達したというワケです。

「54字の原稿用紙」はちょうどインスタグラムにぴったりの正方形になります。

きっとこれが成功の秘訣でしょうね。

誰でもが手にするインスタグラムというフォーマットの中に、うまく押し込むことができました。

現在、90%以上の人がスマホを持っています。

目の前に手ごろな原稿用紙があれば、すぐにかけて応募できるという即時性が時代にあったのでしょう。

応募の仕方も簡単です。

専用のジェネレータがあり、そこに打ち込むだけで、すぐに応募可能なフォーマットになります。

入選すれば、自分の作品が本に載り、図書券ももらえます。

ちょっとチャレンジしてみようと考えても、不思議ではありませんね。

ジェネレータの存在

「54字の物語」が成功した背景には、特別なフォーマットがあります。

ちょっとみてみてください。

これです。

ポイントはジェネレータの下の枠の中に文字を入れるということだけなのです。

最後のところにリンクを貼っておきましょう。

それがきちんと54文字になっていれば、あとは自然に完成です。

最初にとまどうのは、原稿用紙に直接書きこもうとするからです。

そこだけは気をつけてください。

さて書き方です。

ポイントはテーマですね。

たとえば「怪」などとしてみましょう。

怖い話は誰でも好きなものです。

本当は聞きたいけど、やはり怖いからイヤだという人もいるでしょう。

geralt / Pixabay

そこでのポイントは、日常の中でのちょっとした出来事に着目することです。

岩手県の遠野に伝わる民間伝承などは、どにでもありそうな話ばかりです。

座敷わらしも河童も、みな日常の風景です。

本来、動かないものが、ふっとした瞬間にくるくると回り音をたてる。

それだけで怖ろしいですね。

その対象を何にするか。

あなたの周囲に取材するのです。

他人から聞いた話でもかまいません。

落語のようにオチがあれば、それも楽しいですね。

シュールな笑いも

自分がこうであったらいいという希望を書くこともできます。

食品などをテーマにするのも楽しいですね。

「食」は生きる力につながります。

しかしそれが突然、悪意に満ちたものになったら、すぐさま毒に変身するのです。

健康サプリに青カビがついたという話題は、誰もが知っています。

そこから重い腎臓の病気に発展しました。

なんとなしにカビがついただけで、全く性格の違う物質に変化するのです。

IPS細胞も同様です。

わずかなミスが、次の細胞を侵食しいきます。

それを身体の奥深くに入れた人間は、次の世代にどう変化するのでしょうか。

どのようなテーマでもかまわないので、試みてください。

自分はこんなことを考えていたのかという、意外な一面を知ることができるかもしれません。

図書室で教えてもらったことを参考に、ぼくも少し書いてみようと思います。

あなたもどうですか。

応募はかなり短いインターバルで年間繰り返して行われているようです。

Photo by Dick Thomas Johnson

PHP研究所にとってもドル箱の企画になったに違いありません。

テレビのクイズ番組でも利用されています。

まだまだ裾野は広がる一方なのではないでしょうか。

最後に作り方のヒントをまとめておきます。

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①テーマを決める
②非日常的なことを考える
③理由を突き詰める
④起承転結のうち、起と結を入れる
⑤文字を正確に
⑥54字を死守する

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

54字の物語ジェネレーター #54字の物語
54字ぴったりの物語をつくりましょう。
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