【レジリエンス】しなやかな弾性と回復する能力を持つために必要なこと

しなやかな弾性

みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回はレジリエンス(resilience)について考えてみます。
この表現を耳にしたことがあるでしょうか。
レジリエンスとは、「回復力」「弾性(しなやかさ)」を意味する英単語です。
彼(彼女)はレジリエントだといった言葉の使い方をします。

一言でいえば耐性が強いということなのです。
といっても硬くて強いという意味ではありません。
むしろ柔らかく、しなやかさを持っている人という意味なのです。
困難な問題、危機的な状況、ストレスなどに遭遇しても、すぐにめげることがありません。
心の弾性が強い、回復力のある人をさします。

誰でも人間は強いストレスを浴びると、その後の行動が以前のように溌剌としたものではなくなってしまいます。
それでも立ち直れる人というのは、ある意味ものすごいですね。
レジリエンスとは精神的な強さを示す時に、よく使われる表現なのだと覚えておいてください。
今日、あらゆることがらが効率を優先するようになっています。

特にネット社会になってから、スピードを重視するようになったのです。
ストレスなしに仕事をしている人など、皆無なのではないでしょうか。
逆境に負けずに、自分の心をいつも平衡状態に保つのは、至難の業だといってもいいかもしれません。
最近のニュース見ていると、学校現場などでもその傾向が強いようです。

若い先生の退職がことに目立ちます。
ストレスを解放できず、仕事を抱え込んでしまうのです。
教育現場に限らず、入社して3年以内に退職する人の話もよく耳にします。
どのようにしたらレジリエントな人間になれるのか。
その実態を少し考えてみましょう。
ここでは環境ジャーナリスト、枝廣淳子氏の評論を参考にします。

本文

「レジリエンス」はもともと、「反発性」「弾力性」を示す物理の用語です。
レジリエンスの構成要因についても、さまざまな研究が行われています。
一般的に、生態系などの分野でレジリエンスの要素としてよくあげられるのは、「多様性」「モジュール性」「密接なフィードバック」です。
「多様性」がレジリエンスを作り出すというのはわかりやすいでしょう。
例えば、震災などで数日間停電しても、ガスや薪や太陽光発電など多様なエネルギー源が使える状況なら、それほど困らないでしょう。

自分のアイデンティティが「〇〇会社の部長」だけだったら、会社が倒産したり失職、左遷されたりすると、ぽきっと折れてしまうかもしれませんが、
「夫であり、父親でもあり、地元の少年野球チームのコーチでもあり、同窓会の仲間の一人でもあり」とさまざまな「自分」をもっていれば、「どれか1つがうまくいかなくても、全体が倒れてしまうことはない」強さをもつことができます。
「モジュール性」とは、ふだんは全体とゆるやかにつながっていても、いざというときには、自分たちを全体から切り離して、自分たちだけで成り立つようになっているかどうか、ということです。(中略)

例えば「地球の裏側で発生した金融危機の影響で、円やドル、ユーロが使えなくなっても、何らかの非常事態宣言が発生して食料やエネルギーの輸入が途絶えても、
うちの地域には地域通貨があるし、暮らしに必要なエネルギーの地域内自給力も高いので、何とか回していける。」という地域は、モジュール性が高くレジリエンスに富んでいると考えられます。

「密接なフィードバック」とは、システムのある部分に起こる変化を、他の部分が感じて反応する速さと強さのことです。
「変化が起きつつある」という情報が伝わる、つまり、フィードバックがくるのに時間がかかったり、場合によっては、フィードバックがこなかったり、まちがっていたりすると、手を打つべきタイミングに気がつかなかったり、必要な対応をすることができず、外的な衝撃がやってきたときには手遅れになっていて、大きな被害を受けてしまうかもしれません。

回復力をあげるために

しなやかに強く立ち直れる力はどうすれば、身につくのでしょうか。
基本はどういう人がレジリエントなのかが見えていれば、それに近づく方法も考えやすいです。
具体的にどのタイプが人がレジリエントなのでしょうか。
いくつかの共通点が考えられます。

➀ 考え方が多様
② 気持ちの切り替えがうまい
③ 自分にも人にも優しい
④ 周りの人と協力関係を築ける
⑤ 続けてチャレンジできる
⑥ 自分の良い面を認識している

当然ながら、レジリエントでない人はこの反対の要素を持っています。
枝廣淳子氏の言葉を借りれば「多様性」「モジュール性」「密接なフィードバック」ができない人ということになります。
この中で、個人が最も努力して身につけなければならないのはやはり「多様性」でしょう。
基本は自己肯定感が高いという属性を持つことです。

そのためには自己のアイデンティティを確かなものにする必要があります。
基本は他人と自分を比較し過ぎないことです。
もちろん、全くしないなどということは無理です。
人間は黙っていても、他者と比べてしまう生物なのです。
基本は自分を卑下しないことです。

失敗から多くを学ぶ姿勢も必要でしょうね。
大切なのはいくつもの顔を持つことです。
会社人間の弱さは、定年になった途端、どこへもいく場所がなくなることです。

ビジネスとの関係

レジリエンスがビジネスで注目されるようになった背景を、少し探ってみましょう。
この数年、あまりにも変化が急激です。
1つの理由はコロナのパンデミックです。
労働環境がガラリとかわりました。

出社せずにリモートで仕事をするなどということは、コロナ前にはほとんど考えられませんでした。
他者と同じ空間にいないで、仕事ができるならば、確実にストレスは弱まります。
ところがコミュニケーションの質という面からみると、不十分そのものです。
人間が同じ空間で、互いの目をみて語り合うということは、想像以上の情報をやりとりすることを意味します。

それがまったくできなくなったことの意味は大きいですね。
さらにいえば、ウクライナ情勢、為替の乱高下など、全く想像しなかった変化もありました。
ストレスだらけの労働現場で、レジリエントな状態をキープするというのは、大変なことです。
それでは誰もが、いつも一定の精神状態でいることは可能なのでしょうか。

これは大変に難しいテーマです。
感情のコントロールには資質的な要因もかなり重要です。
その人の気質と大変強い関連性があります。
アイデンティティが確かであれば、レジリエントでいられるのかどうかについては明言できません。

しかし多くの顔を持っていることは重要です。
自己に対する肯定感が強い場合、「楽観性」「統御力」「社交性」「行動力」などが身につきやすいからです。
あなた自身はこのテーマに対して、どのような考え方をもっているでしょうか。
ぜひ800字程度でまとめてみてください。

必ず意味ある文章になると思います。
とにかく書いてみることが大切です。
早急に試みてください。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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