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角田光代『さがしもの』の世界に心惹かれる

別にどうってことない風景が広がる小説です。登場人物も若い。息苦しい現実の一部を少しだけ切り取ってまとめてある。人は死ぬまで生きなくちゃならない。切ない。日々を過ごすことの難しさも感じる。男がいて女がいて、気にいれば一緒に暮らす。時に相手がか...
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【ガラスの動物園】人間の哀しみを描写したアメリカ演劇の代表作

戯曲の魅力みなさん、こんにちは。今回はぼくにとって忘れられない芝居、「ガラスの動物園」を紹介させてください。タイトルを聞いたことがありますか。同じ芝居を何度も見るということは、そう滅多にあるものではありません。ぼくにとってそうした作品の一つ...
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「ハッカ油」脳内リフレッシュには強烈なペパーミントの香りが1番

ペパーミントシャワーみなさん、こんにちは。今回はちょっとミントの話をさせてください。こんな不思議な植物が世の中にはあるんですよね。ハーブの中でもことに有名なペパーミントです。駅へ行く途中の家にもたくさん植えてあります。時々、葉っぱを1枚頂戴...
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【やまなし・宮沢賢治】透明感に満ちた自然の豊かさを感じさせる童話

透明な童話みなさん、こんにちは。今回は宮沢賢治の童話を読みます。タイトルは「やまなし」です。小学校時代に習いませんでしたか。6年生の国語教科書に採用されて以来、多くの人に広く親しまれている短編です。何度読んでも不思議な味わいのある童話なので...
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【化粧とは何か】ナチュラルメークの女性たちが目立つ現代【変身願望】

化粧の本質みなさん、こんにちは。人間というのは不思議な生き物ですね。つい先日も旅行に出かけ、しみじみと若い女性たちの顔を眺めてしまいました。街中を歩いていても、同じように感じます。みなさん、それぞれ自分にあった服装を身につけていますね。髪型...
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「三島由紀夫の真実」潮騒と仮面の告白の美意識は地下で繋がっている

特異な生育環境みなさん、こんにちは。作家三島由紀夫の作品については、ここでもいくつか取り上げました。特に最後の小説となった4部作『豊饒の海』についてはかなり詳しく書いたつもりです。「輪廻転生」という思想とともに、能のワキに似た役割を果たす主...
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「星の音楽家」ミマスの持つ宇宙観が現代に響く「地球星歌」

ミラ中合唱部みなさん、こんにちは。音楽はいいですね。心身ともに疲れた時、心を慰めてくれるのは音楽です。今までどれほどの勇気をもらってきたことか。ジャンルは問いません。その時に聴きたい曲がベストです。昨年も新しい曲にたくさん出会いました。今は...
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【沢木耕太郎・深夜特急】身体の中が熱くなるホンモノの旅本はこれ

旅をして学ぶみなさん、こんにちは。若者といえば、かつてはバックパッカーとして世界へ飛び出ていったものです。最近はyoutubeを見て、旅行した気分になっちゃうんでしょうか。ぼく自身、夏の休みを利用して、1カ月ヨーロッパを歩いたことがあります...
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【村上春樹】短編・レキシントンの幽霊は喪失の悲しみが揺らめく逸品

短編の味わいみなさん、こんにちは。毎日何をしていいのか迷いながら暮らしています。時間をもてあまして、つい読書ということになります。昔読んだ本をめくってみるというのも、時間潰しの1つの手です。今日も村上春樹の短編をいくつか読んでみました。彼の...
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「教育格差」経済の視点から学力の問題に切り込む「コロナがあぶりだしたもの」

教育格差みなさん、こんにちは。今回は格差社会の問題を経済の視点からみていきます。教育予算に関するテーマです。諸外国に比べて日本の教育水準は非常に高いです。一時はPISAショックなどといわれ、日本の教育の未来に不安を投げかけました。日本人の多...
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「空海・最澄」密教と顕教の教えが2人の関係を引き裂いた「陳舜臣・司馬遼太郎」

空海・弘法大師みなさん、こんにちは。今回は空海・弘法大師の話をします。この人はさまざまな言われ方をしています。空海を理解するには格好の本があります。陳舜臣の『曼荼羅の人』と司馬遼太郎の『空海の風景』です。この2冊をぜひ読んでみてください。前...
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「マジョリティ・チェックの重要性」差別の深層を学び人権感覚を養う

アイデンティティの心理みなさん、こんにちは。今回は人権について考えましょう。難しいテーマです。この課題が正面から出題されることはあまりありません。しかしいろいろな形で関係のあるキーワードが出てきます。特にジェンダーフリー、障害者、いじめなど...
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【悟浄歎異・中島敦】沙悟浄の目から見た孫悟空・三蔵法師の真実とは

悟浄歎異(ごじょうたんに)みなさん、こんにちは。今回は中島敦の名短編を読みます。1942年、彼は中国の古典『西遊記』に題材を求め、この作品を発表しました。授業で扱った記憶はありません。学校ではもっぱら『山月記』がメインでしたね。しかしこの作...
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【タイの僧院にて】文化人類学者が素手で知った托鉢とアジアの純真

文化人類学とはみなさん、こんにちは。今回は異文化理解の視点から、何冊かの本をご紹介します。青木保著『異文化理解』(岩波新書)がそれです。久しぶりに読み返しました。筆者についてご存知ですか。文化人類学者です。元文化庁長官でつい数年前までは国立...
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【人新世の資本論】SDGsが大衆のアヘンならプランBは地球脱出か

人新世の資本論みなさん、こんにちは。今回は2020年9月に刊行されて以来、売れ続けている本の話をします。『人新世の資本論』がそれです。著者は経済思想学者、斎藤幸平氏です。新書コーナーへ行けば必ず最前列に並んでいます。こうした本がこれだけ読ま...
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【絵仏師良秀】芸術至上主義者の辿る道には死の匂いが常に漂う

火炎を描くみなさん、こんにちは。今回は必ず高校1年で習う『宇治拾遺物語』の中から代表作「絵仏師良秀」を取り上げましょう。覚えていますか。高校に入って1学期に習う単元にあります。燃え盛る火を見ながら、叫ぶ絵仏師良秀の姿には鬼気迫るものがありま...
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【フィルターバブル】あなたのスマホにはあなたの推しだけが並ぶという怪

フィルターバブル現象全国学力学習状況調査(全国学力テスト)が今年も4月に実施されました。これは小学6年生と中学3年生を対象に、学力や学習意欲などを毎年調べているテストです。文部科学省がこの時期に実施しています。新聞にはその試験の内容が掲載さ...
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蜻蛉日記「十七日、雨のどことなくふるに」夢ははたして現実になったのか

夢判断こんにちは。今回は夢判断について考えてみます。蜻蛉日記は平安時代中期の日記です。作者は右大将道綱の母という人です。本名は記録として残っていません。藤原兼家との結婚生活の苦悩と息子、道綱への愛情で構成された作品です。夫、兼家は多忙な人で...
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【蜜柑・芥川龍之介】疲労と倦怠の日を送る作家が生の意味を垣間見た瞬間

蜜柑みなさん、こんにちは。今回は芥川龍之介の短編を取り上げます。タイトルは『蜜柑』です。お読みになったことがありますか。学校ではめったに扱いません。所収している出版社もありますけれど。教科書ではもっぱら『羅生門』でしたね。これは高校1年で習...
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【大岡信・ことばの力】染色家志村ふくみの見た桜色の真実とは

折々の歌みなさん、こんにちは。今回は光村図書版、中学2年の国語の教科書に載っているエッセイを取り上げます。筆者は詩人の大岡信です。8年ほど前に亡くなりました。『折々の歌』はご存知ですか。1979年から2007年までずっと朝日新聞の朝刊第1面...
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「小川国夫・アポロンの島」透明感のある力強く澄んだ言葉との出会い

透明な小説みなさん、こんにちは。今回はかつて読んだ本の中で1番澄んだ印象のある本の話をさせてください。小川国夫の『アポロンの島』がそれです。ほとんどの人が全く知らない作家でしょう。今から17年前に亡くなりました。古井由吉、黒井千次、後藤明生...
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「タイ式生活のすすめ」マイペンライの暮らし方こそがトレンディ

マイペンライとはみなさん、こんにちは。少し前のことです。担任団の解散旅行でタイへ行ってきました。なぜ行ったのか。あったかいところでのんびりしたかったのです。担任団で最後に旅行をするというのは、それまでの3年間の最後の儀式みたいなものなのです...
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【私たちの望むものは】歌手・尾崎豊とは何者だったのか【没後33年】

尾崎豊みなさん、こんにちは。尾崎豊が亡くなってから33年。早いものですね。1992年4月25日。彼は26歳で亡くなりました。不思議な人です。何年かの周期でブームが来ます。忘れていない人が大勢いるという証拠でもあります。全裸で死んでいるのが発...
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【声に出して読む・初恋】七五調の文体を身体の中に取りこんで心地良く

島崎藤村みなさん、こんにちは今回は島崎藤村の詩、「初恋」を読みます。声に出して音読してみてください。独得のリズムが身体の中に入ってきます。言葉の持つ不思議な力ですね。初恋が発表されたのは、明治29年(1896)のことでした。七五調の文語体で...
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【鴻門之会・項羽と劉邦】この章段を読むと漢文に100倍の親しみが

ハイライトみなさん、こんにちは。今回は漢文の授業の中でも人気のある「鴻門之会」を読みましょう。覚えていますか。全くそんなの知らないという人は是非、司馬遼太郎の本を読んでください。タイトルは『項羽と劉邦』です。漢楚の戦いは中国の歴史の中でも最...
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【不全感と愛嬌】人間にとって1番必要なものはこれ【先達はあらまほしき】

不全感と愛嬌みなさん、こんにちは。人間、毎日仕事をしなくては食べていけません。なんにもしなくても生きていける人は誠に羨ましい存在です。しかしかなりの確率で、つまらないでしょうね。人間は誰かのために生きているという実感がないと、生の喜びが得ら...
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【安藤忠雄・連戦連敗】ホントに好きじゃなければ無理【独学の強さ】

消える建築物みなさん、こんにちは。今回はかつて読んだ安藤忠雄の本について語らせてください。建築は隈研吾の時代ですね。名前はご存知だと思います。木材をふんだんに使った建築物があちらこちらにあります。国立競技場もその1つです。先日訪ねたある私立...
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【落語】仕方噺・蒟蒻問答のキモは言い立てと禅問答の謎解き

仕方噺って何?みなさん、こんにちは。久しぶりに落語のネタで失礼いたします。なんといっても落語の話をしているだけでご機嫌なのです。今回のテーマは仕方噺(ジェスチャーでオチをとる噺)として、最も有名な「蒟蒻問答」です。「オチ」はわかりますよね。...
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【十善戒・振り込め詐欺】人を騙すなんて最低だという感覚が命です

人を騙すのは最低みなさん、こんにちは。落語を時々、あちこちで喋らせてもらっています。皆さんに喜んでいただけるとやっぱり嬉しいですね。稽古し始めてからもう12年くらいになりました。落語はもともと仏教と深い縁があります。いろいろと関係のある噺を...
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【衛生観念】私の赤ちゃんに触らないでという投書の持つ意味は?

新聞の投書欄みなさん、こんにちは。毎日、暢気に暮らしてます。これといった悩みもありません。お茶を飲みながら、毎日ブログを書くのが楽しみの1つです。朝起きてまず見るのが新聞です。いろいろな情報の宝庫といってもいいでしょう。最近は新聞をとらない...