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【漁父の辞・屈原】世俗から身を引くことを図る老荘思想の流れ

屈原の存在みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は漢文にチャレンジしましょう。授業で習ったと思います。漁父(ぎょほ)の辞です。辞とは韻を踏んだ叙情的な文章のことをいいます。屈原という人の名前を聞いたことがありますか。戦...
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【日本文化の雑種性・加藤周一】代表的な日本論の構図を頭に叩き込む

雑種文化論みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は日本を代表する評論家、加藤周一氏の「雑種文化論」を取り上げます。高校の教科書には必ず所収されていますね。いわゆる日本論、日本人論の根幹をなす評論です。発表されたのは戦後...
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【梶井基次郎】短編・檸檬は鋭敏な感受性に裏打ちされた抒情的童話

文学離れみなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今までにいろいろな小説をご紹介してきました。授業で取り扱ったのもあれば、そうでないのもありました。特に反道徳的な三島由紀夫とか、谷崎潤一郎などという作家のものは、あまり読んだこ...
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【立原道造・ソネットとの出会い】夭折の詩人の14行詩には死の予感が

ソネット形式みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は立原道造の詩を読みます。名前は聞いたことがあると思います。特に女性には人気がありますね。詩の言葉が優しいのです。しかし内容は厳しく、孤独感に満ちています。ソネット形式...
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【現代日本の開化・夏目漱石】近代化の波の中でもがき苦しんだ知識人の横顔

現代日本の開化みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は夏目漱石の代表的な講演、「現代日本の開化」について考えます。歴史的に「近代」をどう定義するのかは大変難しいテーマです。思想的には合理主義、政治的には民主主義、経済的...
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【カタカナ語の氾濫】無限に増殖する外来語とどう向き合えばいいのか

カタカナ語の氾濫みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回はカタカナ語が巷に溢れかえっている話をします。このテーマは小論文の課題に直結します。毎日の暮らしの中で、外来語に触れないことはありませんね。カタカナで表記されるこれ...
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【おらが春・小林一茶】晩年に生まれた娘のあどけなさに思わず笑みが

52歳で結婚みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、ブロガーのすい喬です。今回は俳人、小林一茶についてまとめてみます。一茶の代表的な句はなんでしょうか。目出度さもちう位也おらが春雀の子そこのけそこのけ御馬が通るともかくもあなた任せのとし...
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【情報化社会】世界を最後に支配するものは数字だけだという怖ろしい現実

数字が全てみなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は数字について考えてみましょう。あなたの周囲をちょっと見まわしてみてください。数字以外に何があるのか。あらゆるものが数字がらみなのです。不安になりませんか。物価、賃金、年...
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【都立推薦・青山高】母性保護のゆくえ【与謝野晶子と平塚らいてう】

女性の独立みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は都立青山高校の推薦入試の問題について考えます。テーマは母性保護です。2つの資料が添付されています。1つは与謝野晶子が1918年3月に書いた「女子の徹底した独立」という文...
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「岩橋の契り・俊頼髄脳」修験者の途方もない願い「葛城から金峰山へ橋を」

役の行者と一言主の神みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回はスケールの大きな神通力の話をします。あなたは役(えん)の行者という人の存在を知っていますか。白鳳時代の山岳修行者で、奈良を中心に活動した人です。修験道の開祖と...
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「自分の木の下で・大江健三郎」学校へ行くことの意味を改めて問うてみた

個人的な体験みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。これは1960年代の話です。ノーベル賞作家、大江健三郎にとって長男の誕生は大きな試練の道への一歩でした。生まれた時から子供の頭蓋骨には異常がありました。そのことが結果的に作...
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「沈黙とことば」一見対立するようなものの中に濃密な関係が潜むという発見

会話の不在と沈黙の意味みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回はことばについて考えてみます。小論文を書くとき、「二項対立」を重視しなさいとよく言います。東洋と西洋とか、近代以降と近代以前とか、生と死など、いくらでもこの種...
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【学校という社会の不思議】降格人事を望む人がいるという教師の世界

学校という社会みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。随分長い間、学校という特殊な社会にいます。大学を出て2年間サラリーマンしてから飛び込んだので、なおさらその不思議さに圧倒されました。会社はある意味わかりやすいです。ひたす...
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「AIと労働」人工知能全盛の時代、生き残るために必要なスキルとは何か

AIと労働みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は喫緊のテーマ、AIを扱います。AIは生活の利便性を格段に高めてくれつつあります。選択の幅が広がり、より良い消費が可能になるという意味では、大いに歓迎したいところです。し...
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「中島敦・山月記」主人公・李徴は完璧主義と自己実現の狭間で揺れた

山月記再読みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は中島敦の『山月記』を取り上げます。これは高校で習う文学作品の1つです。教える方から言えば、扱いやすい小説の1つだといえます。漢文が主体の作品なので、読むのは確かに面倒で...
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「枕草子28段・にくきもの」観察力の鋭さと独自の感受性が反映された段

にくきものの役割みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。『枕草子』の魅力は、清少納言の感覚の鋭さにありますね。審美眼とでもいった方がいいのかもしれません。彼女の気分にあわないものは、みな「にくたらしいもの」の範疇に入るのです...
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受験脳は親子の読書習慣なしに育たないという厳粛な現実

受験脳は読書脳みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。ここ数年、高校受験、大学受験の様子も様変わりしてきました。なぜでしょうか。理由はさまざまです。新しい教育指導要領。新しい大学入試制度。目の前でどんどん変革が進んでいきます...
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「枕草子・大納言殿参り給ひて」定子サロンの雰囲気が色濃くにじむ章段

定子サロンみなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は『枕草子』を読みます。日本三大随筆の1つとされていますね。作者、清少納言の卓抜な筆致がみごとというしかありません。歌人、清原元輔(もとすけ)の娘として生まれ、幼いころか...
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【都立推薦・国立高】多数決は全体の意見を正しく反映しているのか「ボルダルール」

多数決を疑うみなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は国立高校推薦入試に出題された「多数決」の問題について考えてみます。毎年国立高の問題は大変に難しいです。総合得点900点のうち、小論文が300点を占めます。割合にすると...
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「落窪物語」継子いじめというテーマは人間の本性に根差したものなのか

いじめの物語みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。いじめというのは人間にとってどういう意味を持つものなのでしょうか。辞書をひくと、肉体的、精神的に自分より弱いものを、暴力やいやがらせなどによって苦しめることとあります。ポイ...
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「機械論的身体観・中村雄二郎」人間を器官として捉えることの是非を問う

哲学の現在みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は「機械論的身体観」を軸に人間の存在について、論点を整理してみます。筆者の中村雄二郎氏は早くからフランス人文主義に関心をもち、パスカルやデカルトを研究した哲学者です。著書...
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【おくの細道・象潟】松島に似た風光の地に芭蕉は寂しさと悲しみを見た

象潟みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は松尾芭蕉の『おくの細道』を読みましょう。高校の教科書ではめったに扱わないところです。きさかたと読みます。地味な表現が続きますが、描写は見事ですね。山形県を出た芭蕉と曾良はいよ...
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【松尾芭蕉・奥の細道】軽みの世界をあくまでも追求した信念の人

奥の細道みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は俳聖、松尾芭蕉を取り上げます。古典の授業をしていると、いつも1番最後になるのが『奥の細道』です。新年度、説話集から始め平安時代の小説や随筆を読み、『平家物語』の和漢混交文...
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【丸山眞男・であることとすること】権利の上に眠ってはダメという戒めの本

「すること」の意味みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は難しい評論に挑みます。高校3年の教材です。何度も授業でやりました。難解です。説明をきちんとすれば理解してくれますが、そうでないともうダメですね。この題材は彼の評...
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【清光館哀史・柳田國男】生の苦痛と熱狂を秘めた歌垣が鎮魂歌になる夜

清光館哀史みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。柳田國男の作り上げた民俗学は長い間、日本の思想の根幹を揺るがしてきました。多くの評論家が彼のフィールドワークを内側にとりこんでいったのです。彼は明治41(1908)年から民俗...
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「言葉がつくる男と女」アイデンティティはどのようにして形成されるのか

言葉がつくる男と女みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回はことばとアイデンティティの関係について考えてみましょう。よく使う語彙の1つがこのアイデンティティです。なんとなくわかっているものの、きちんとは答えられない謎の単...
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【鏡の中の現代社会・見田宗介】異世界を知り自明な場所から外に出る

鏡の中の現代社会みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は社会学者、見田宗介氏の文章を読みます。学者でありながら、卓抜なエッセイストでもありました。これほどに柔らかな文章を書ける人は多くありません。詩情に溢れたいい作品ば...
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【日本人と英語】読める(?)けどしゃべれないのはなぜなの【極東の地政学】

読める(?)けどしゃべれないみなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は少し日本人と外国語の関係について考えてみます。突然ですが、あなたは外国語を流暢に話せますか。試しに英語をイメージしてみてください。見知らぬ外国人に道を...
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100均で腕時計のバネ棒をみつけたが結果はトホホ!

バネ棒が飛んだみなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。少しnoteを真面目にやってみようかなと思ってます。何冊か本をまとめてマニュアルも読みました。しかしそんなに簡単なもんじゃないね。その前に、あれこれと書きたいこともありま...
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「高村薫」日本が崩れていく現実を冷徹に見て取った作家の目「反論不能」

マークスの山みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は作家・高村薫が朝日新聞へ寄稿した文章をもとに、少しだけ考えたことをまとめます。ぼくは彼女の作品を数冊しか読んでいません。あまりいい読者ではないのです。最初に手にとった...