追憶
みなさん、こんにちは。
ここ2か月ばかり、三島由紀夫の本ばかり読んでます。
なぜでしょう。
あんなに修飾過多なのに、どこがいいんだか。
元々『豊饒の海』は好きでした。
ご存知ですか。
割腹自殺をする前に書いた4部作です。
今まで、何度も読んでます。
『春の雪』と最後の『天人五衰』が特に好きですね。
でもここ2カ月で読んだのはそんなのではありません。
もっと軟弱なのばかり。
『愛の渇き』『美徳のよろめき』『音楽』『宴のあと』
今日、読んだのは『真夏の死』の中に収められている『春子』です。
読んだ人にはわかると思いますが、どれも微妙な自我の所産ばかり。
しかしそこにある意識の集中には目を見張りますね。
やっぱり三島はすごいです。
今までは話題作ばかり読んできました。
代表的な作品はほぼ全部読んだと思います。
『近代能楽集』や『鹿鳴館』などは芝居で見ています。
割腹自殺
あの日のことは忘れられません。
1970年11月25日
昼過ぎでした。
突然、三島が市ヶ谷の駐屯地に入ったというテロップが流れて。
それから1日中、このニュースだけでしたね。
ぼくは浪人中で家にいたのです。
だからほとんど見てます。
というのもその数日前に『豊饒の海』の2巻目『奔馬』を読み終わったばかりでした。
書店には畢生の大作というポスターが貼られ、どうしてこの若さでそんなことを言うのかと訝しんでいたのです。
それが突然の割腹自殺ですからね。
衝撃的でないといわれたらウソになります。
評論家、野口武彦の『三島由紀夫の世界』(講談社)も読んでいました。
彼はぼくの高校時代に国語を教えてくれた先生でもあります。
読まないワケがありません。
もろもろの条件が重なった末の自殺のようです。
こういう死に方もあるのかと思いました。
その前に映画「憂国」も見てました。
自分が腹を切るところを映したものです。
もちろん、本当じゃありません。
しかし本人は至極真面目だったんでしょう。
あれだけひ弱だった人が、ボディビルをやってまで自分の肉体をあそこまで築き上げたのです。
全ては死ぬための道程でした。
自分のシナリオに他人を介入させたくなかったのかもしれません。
しかし世の中はそんなに鋭利な刃物で切れるようにはできていないのでしょう。
あちこちに刃こぼれがあるような気もします。
きっと本人はそれが1番いやだったんでしょう。
ブックオフ
ちょっと三島の本を買おうと思いました。
ぼくが本を求めるのは、かなり珍しいことなのです。
しかしいつもの格安コーナーには1冊もありません。
全部売れたのかなと思って、値段の張る別の本棚へ。
そこには少しだけありました。
もう彼の本を読む人なんていないのかもしれません。
売値をみると高いのです。
本体の元の価格とあんまりかわらない。
たったの2割引きでした。
ちっとも安くありません。
安ければ10冊くらいまとめて買っても悪くはないかなと考えてました。
商売人はずるいですね。
結局今持っているのは『豊饒の海』4巻と『鹿鳴館』『仮面の告白』『近代能楽集』だけ。
悔しいから他の店へいって安いのを全部買い込んできます。
特に初期の短編がお勧めです。
教科書にも『花ざかりの森』の数編が収められています。
あなたも少し読んでみてはいかがですか。
先日亡くなった美輪明宏と三島の関係なども調べてみると面白いです。
今日の朝刊にも、『豊饒の海』最終巻の『天人五衰』と美輪明宏の話が載っていました。
戯曲
芝居の好きな人は戯曲もいいと思います。
『近代能楽集』は今までにあちこちの劇団が手がけています。
ぼくもいくつか見ました。
しかしなかなか成功しないのです。
台詞があまりにも難しいからでしょうか。
というより、場面設定に感情移入するのがすごく厄介な戯曲なのです。
ある意味、人工的な空間に取り残された人間の悲しみに満ちた台詞ばかりです。
それを表現するのが難題でした。
関心のある方は、戯曲だけでも読んでみてください。
新潮文庫に入っています。
三島の戯曲は俳優の技量が試されるものばかりです。
劇団四季は結成してまもない頃から三島の芝居をやりました。
その中でもとくに『鹿鳴館』は有名ですね。。
演出家、浅利慶太と三島由紀夫にはどこか惹かれあうものがあったんでしょう。
大時代的な台詞回しが、記憶に残っています。
口跡を大切にする浅利の演出と、台詞がマッチしていましたね。
三島は何を探していたのか。
わざわざ、詩人の伊東静雄に会いにいったりもしています。
相手にされなかったみたいですけれど。
はやく死にたかった人であることだけは、事実です。
ぜひ、作品に触れてみてください。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

