2021-12

【月山・森敦】雪に閉ざされた寺で過ごしたひと冬の日常【原風景】

作家森敦の魅力はその特異な世界にあります。10年働き、10年遊ぶという生き方を実践してきました。それが彼の文学にさまざまな陰影をつけています。旧制一高を退学した後に、多くの小説家たちと知り合い、特に横光利一に師事しました。

【万国旗と電信柱・別役実】不条理演劇の時代を生き抜いた劇的な作家

別役実をご存知でしょうか。新しい芝居を探りつづけた劇作家です。ベケットの影響を強く受け、反演劇を目指しました。その芝居にひとたび触れると、日常の生活が全く違うものに見えてしまうのです。不思議な魅力に満ちた作家でした。
学び

【新学力観】AI時代を生き延びるために思考力を育てる唯一の方法

AI時代を生き抜くために、どのような学力を持てばいいのか。コンピュータに記憶力で勝とうとしても無理な話です。人間にしかできない方法があるとすれば、それは何か。1番に大切なのは言葉を操るということなのです。論理的整合性のある表現力です。
学び

【小論文・テンプレート】小見出しを意識し段落を構成すればバッチリ

小論文を上手に書くには、自分なりのテンプレートを作るのが最良の方法てす。どういう段落にまとめるのか。それがわかってくれば、おかしな構成の文章にはなりません。小見出しの意識がとても大切なのです。

【アルジャーノンに花束を】人間にとっての幸福とは何かがわかる本

ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』という作品を読んだことがありますか。脳の手術を受け、劇的にその数値を伸ばしていく話です。ハツカネズミのアルジャーノンも同じ手術をうけますが、その後の変化は、悲惨な未来を予感させるものでした。
学び

【シュタイナー学校】教育のあり方に疑問を持ち設立した希望の空間

現在の学校教育はさまざまな問題を抱えています。いじめや不登校がなぜ多いのか。同調圧力の強い社会が持っている息苦しさもあるのでしょう。そうしたことへのアンチテーゼとしてシュタイナー教育がよく取り上げられます。実際どのようなものなのでしょうか。
学び

【小論文・課題文型】死角を見せずに合格を勝ち取るための文章とは

課題文型小論文を書くための方法として何が有効なのでしょうか。説得力のある文は論理性から生まれます。フィーリングでまとめ上げられた文章は評価の対象になりません。良質な文を読み、多く書くこと。これが最も手っ取り早い道のりなのです。

【モモ・童話】盗まれた時間の意味を女の子に教えられた【時間泥棒】

ミヒャエル・エンデの童話『モモ』はけっして子供のためだけにある作品ではありません。彼の鋭い視点は自分に向けられたベクトルの矢そのものです。なんのために現在という時間をつぶして生きていこうとするのか。その意味を考えさせる名作です。
学び

【臥薪嘗胆・十八史略】屈辱や痛苦に耐えうる者だけが使う四字熟語

臥薪嘗胆という言葉を知っていますか。現代では名誉挽回とか汚名返上などという意味でよく使われています。しかしその底にはもっと人間の複雑な感情が横たわっているのです。歴史の中にその言葉の意味があります。少しだけ探ってみましょう。
学び

【小論文・書き言葉】話し言葉から離れて論文の文体を手に入れる

小論文の添削をしていると、話し言葉を平気で使っている人が多いのに驚かされます。どれが書き言葉なのか知らないのです。基本的な言い回しについてはかなり意識的に勉強しなければいけません。繰り返すことで、実力がついていくのです。

【枯木灘・中上健次】路地に命をかけた紀州新宮の作家【神話の系譜】

中上健次の小説には神話に繋がる広さと深さがあります。紀州はまさに神話の故郷なのです。多くの小説の中で『枯木灘』の世界は超絶しています。そこに描かれた血族の姿は、この国の民族が持つ神話への畏敬にも通じています。一読を勧めます。

【字のない葉書・向田邦子】父親の愛情を澄んだ目で捉えた好エッセイ

向田邦子の名エッセイ『字のない葉書』は中学2年生の教科書に載せられています。学童疎開をさせた1番下の妹は子供なので文字も書けません。つらい思いをしないようにと、父親はたくさんの葉書を持たせます。その結果はどのようなものだったのでしょうか。
学び

【国語教科書・小説5本】文科省の指示を守った正直者がバカを見た

文科省の通達をそのまま信じて小説を入れなかった教科書会社が憤っています。第一学習社だけが小説を5本も入れて、検定を通ったのです。この不平等はどこから起こったのか。その問題点を追及してみました。必読です。

【三顧の礼・三国志】劉備玄徳が諸葛孔明を迎えるためにした礼の奥義

三国志は本当に面白い読み物です。日本でも多くの作家が挑んでいます。横山光輝は60巻に及ぶ漫画を描きました。その中によく使われる表現「三顧の礼」があります。劉備が諸葛孔明を自分の参謀にと願った時の礼の究極の姿なのです。

【捜神後記・陶淵明】1匹の犬が2度も主人公の命を救ったという奇譚

陶淵明の怪異譚『捜神後記』の中から珍しい話を1つ紹介しましょう。高校では選択科目でしかやらないと思われます。このような類の話は読んでいると実に不思議な感覚になるものです。中国にはこうした怪異譚の系譜がたくさんあるのです。

【奥の細道・平泉】芭蕉の視線の彼方には杜甫の漢詩・春望が見えた

『奥の細道』の中でも「平泉」はとりわけ表現のみごとな段落です。その理由は背景に杜甫の詩を連想させるからです。「春望」の世界をイメージしながら、この段を読むと、格別の感慨があります。松尾芭蕉は有名な俳句をここでつくりました。