「合格一直線の小論文を書くために」絶対に守るべき3つの鉄則はこれ

小論文

経験を過信しない

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

文章を書くということは実に厄介なものです。

特に小論文はどう書けばいいのか、よくわからないという人が圧倒的に多いのです。

しかし入試は目の前に迫っています。

年内入試も盛んですからね。

なんとかしなくてはなりません。

そういう時、耳元で聞こえてくるこの言葉に気をつけてください。

あなたの過去の経験を思いだせという、悪魔のささやきです。

論文は作文と違います。

そのことは誰もが何度も聞かされてきたはずです。

論理性が一番大切だと言われれば、その通りだと思います。

しかし論理だけで800字を書き切るのは、容易なことではありません。

実際に試みてみればよくわかるはずです。

そういう時に出現するのが「経験」の2文字です。

確かに自分の身に起こったことを書けば、字数が稼げます。

しかし好事魔多し。

自分の経験が、そのまま小論文の結論に至ることはまずないということです。

特殊と一般といえば、それまでですが、あなたの経験はこの場合、あくまで「特殊」です。

個人の経験がそのまま、小論文の結論にたどりつくほど、世の中は単純ではありません。

とにかく疑いましょう。

経験が大切なことはいうまでもありません。

しかしそれはあなたがある状況のなかで経験した、「特殊」な事象に過ぎないのです。

それを帰納的にすべての事象にまでまとめあげて、結論に導くことはできないのです。

安易にこの方法にすがってはいけません。

ではどうすればいいのか。

その答えは、あなたの経験が真に一般化されるだけの普遍性をもっているのかどうかを、冷静に判断することです。

その方法はあなたが人間として持っている「質」によります。

長い間、生きて世界をみてきた中で、日々感じ取っている「学びの質」の深さにあります。

そこに小論文の命が宿るのです。

これをまず第1に肝に銘じてください。

課題文を掘り下げる

小論文には課題文を読んでから解答を書くタイプの問題が多いです。

以前は短いのが主流でした。

しかし最近はかなりの長文も出題されます。

受験生の読解力をチェックしたいということなのでしょう。

近年はSDGsをはじめとして、格差社会、少子高齢化、多様性、ジェンダー、AIなど多くのテーマがよく出題されます。

一言でいって大変に難しい内容の文章ばかりです。

どのような問題が出るのか知りたい人は、代ゼミが毎年改訂版を出しているので、それを読み込んでください。

『新小論文ノート』がそれです。

毎年、最新の入試小論文が掲載されています。

ここで悩むのは、どこからチャレンジしたらいいのかということです。

SDGsといっても、テーマは17もあります。

そのどれをとっても、解決困難な難問ばかりです。

2030年までにどれ1つとして、良好な結果を得られるとはとても思えません。

例えば代表的なアジェンダに「地球温暖化」があります。

具体的に解決策を書いて、文をまとめるなどというのは、途方もないことのように思えます。

どうしたらいいのか。

課題文を読み終わったら、問題の原因や背景を探ってください。

自分の中でどこまで深堀りしていけば、解決への糸口が探れるのかを、考えましょう。

ただ表面的な問題を繰り返してみても、評価される文章にはなりません。

なぜ地球は温暖化してしまったのか。

このまま進むと、世界はどのような困難を抱えるのか。

それに対して、躯体的にあなたができることは何か。

考えたプロセスを1つ1つ正直に示すのです。

もちろん、完璧な答えがあるワケではありません。

その道筋をどう考えたのかということが、ここでは最も大切なのです。

方法論にたよらない

ある程度の結論がみえてくると、そこで安心してしまいます。

800字程度の文章であれば、それ以上踏み込む必要はないからです。

しかしあくまでも余力を残しておくことを勧めます。

こんな譬えがあります。

よく言いますね。

氷は水の上に出ている部分はごくわずかです。

残りは水の中に沈んでいるのです。

ところが最も大切なのは、その水面下にある部分なのです。

あなたの本当の力が蓄えられていれば、言葉を通して必ず相手に伝わります。

時間をかけて学び続けたものが、どんなものかを採点者は知りたいのです。

そこに本当の意味での核心があります。

短時間で完成するものではありません。

地球温暖化のテーマは深くて広いです。

その結果はすぐに農産物や漁獲量に影響を及ぼし、人類の生存、ひいては地球の未来にまで及びます。

そこまでの意識を強く持って、小論文を完成しようとする志があれば、必ず人に訴えかけるのです。

それが文章というものです。

ChatGPTをばかにしてはいけません。

あなたが呻吟しながら書いた文章以上のことを、AIはほんの数分でやりとげてしまいます。

それに打ち勝つには並々でない、知識と判断力が必要です。

語彙力もなくてはなりません。

しかし根本的に大切なのは、人間としてのぬくもりではないでしょうか。

それなしに文章をいくら書いても、読者の心をゆるがすことはできません。

方法論は確かに大切です。

有効な手段があれば、それを利用することにやぶさかではありません。

ここではさらにそのうえに、人の心を付け加えてください。

怖れでもかまいません。

自分が生きている間に、地球が存在しているなら、温暖化も受け入れるという考え方でよければ、どこかにその浅薄な諦めがみえてしまいます。

2030年までにここまではやりたい。

そのための方法論はこれでどうだろうか。

必死で文章を綴ることこそが、成功への糸口となります。

採点者として、必ず感じるものがあるのです。

読み手の琴線に触れることを心がけてください。

おもねってはダメです。

最後まで真摯であるべきです。

不可能を可能に

同じ作業を何度か続けているうちに、必ず不十分で足りないところが出てきます。

ネットで得る知識だけでは足りないということに気づくはずなのです。

そこが本当の意味での、学習の場でしょうね

本や新聞、雑誌などからあらゆる知識を得て、さらに力のある小論文を完成させることができます。

そのためには時間と根気が必要です。

発酵のための時間です。

知識はさまざまな紆余曲折を経て、本来の力になります

それだけの時間がとれないとしたら、短期集中しかありません。

信頼できる先生に、添削してもらうことも有効です。

あらゆる手段をつかってください。

全てのテーマを学べとはいいません。

しかし代表的なエッセンスは、頭の中で咀嚼しておくことです。

突然、あなたが考えたこともないテーマが出たとしても、必ず乗り切れます。

それが水面下にある、外からはみえないあなたの真の実力なのです。

学びましょう。

けっして無駄ではありません。

将来に及ぶ自己表現のスキルになります。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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