なぜかヴィスコンティが懐かしい

essay

ルキノ・ヴィスコンティというイタリア人の監督がいた。
ご存知ですか。
今でも時々、リバイバル上映をしているらしいです。
岩波ホールが全盛だった頃、「家族の肖像」が大ヒットしました。

元貴族だったせいか、映像の質がなんとも重い。
バート・ランカスター演じる老教授の心の中に浮かぶイメージが、全編の中心です。
この映画で彼は一気にブームの中心になりました。

その頃、なぜか近くの公民館で映画鑑賞会があり、毎月、彼の作品ばかりを見ることになったのです。
担当者がよほど好きだったのかな。
毎月1本、見ましたね。
みんな地味だった。
大きな音もないし、これといった音楽もない。

アランドロンの主演した「若者のすべて」
トーマス・マンの小説「ベニスに死す」
これで少年役だった男の子が一躍有名になった。
あの時はマーラーが鳴り続けた。

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」
「夏の嵐」
「山猫」

難解な映画ばかりだったな。
しかし大人になるということの意味がちょっとだけわかったような気もしたのです。
あれはなんだったんだろう。
既視感とでも呼べたかもしれない。
どこかで見たような気もした。
大人になるのが厭だといえば、そうともいえたのかも。

また見てみたい。
今ならどう感じるか。
こんなもんかと思うのかな。
あれからベネッチアには2度も行きました。
へんな小説だったな。

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