昨今は昭和と冠がつけば、後半は必ずレトロと相場が決まっている。
歌あり、ドラマあり。
三丁目の夕陽なんて感じかな。
絵もどことなくぼんやりしてて。
あったかいのはよろしい。
しかしちょっとボケ気味かも。
何を見ても懐かしいから、あんまり文句もいわないけどね。
かつては「明治は遠くなりにけり」と呟いたものです。
あの頃は明治大正がレトロだった。
もうみんな想像の外に出たのです。
昭和の何がいいのかな。
力道山か、若乃花か。
街頭テレビか。
確かに一生懸命だったような気はする。
みんな貧乏でしたからね。
格差はもちろんあったけど。
電気製品ひとつをとってもあの形がなんともいえません。
車も電話機も。
ボタンを押さずに子供たちはダイヤルを押したりもする。
父親や母親の不機嫌な顔を覗き込みながら、長電話をしました。
やっぱり何もかもが古い。
人間もかなりくたびれてた。
畳の上に大の字になって寝た。
それもレトロ。
いいじゃないの、幸せだったんだから。
まだAIがなかった頃のおとぎ話です。