土壇場の小論文
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回も小論文について考えます。
大学入試で小論文が必要とされるケースが増えています。
推薦入試が多くなっていますからね。
学校推薦はもちろん、総合型などの場合、これだけ自分がすぐれているのだという事をアピールしなければなりません。
こういう場合の小論文には、ある程度書き方があります。
とくに自己推薦文の場合は、それまでやってきたことを正面から書ききればいいのです。
あなたは「ガクチカ」という言葉を知っていますか。
就職試験の時によく使われますね。
「学生時代に1番力を入れたこと」の意味です。
当然、クラブや、生徒会活動、委員会活動などがメインになるでしょう。
さらに文化祭や、体育祭で、どのような活躍をしたのか。
そこで何を経験し、その結果、自分がどのように成長したのかを表現するのです。
このタイプの小論文は、むしろ自己推薦型の作文に近いものといえます。
これならばすぐにでも練習できますね。
あらかじめ書いておくこともできるのです。
厄介なのは、難解な評論文を読まされ、その後に設問があるタイプの小論文です。
難関大学によく出題される試験です。
これは本当に実力がないと書けません。
国語の試験のかわりに、小論文しかないといった大学まであります。
つまり小論文が、国語力をアピールする場なのです。
問題文が理解できない場合
難解な評論を読み、その後で、あなたの考えたことを書きなさいといったタイプの問題が1番、つらいですね。
特に自分の全く知らない内容が、あったとしましょう。
過去問もかなりやってきたのに、今までの問題とはかなり違うという場合もあります。
人文系小論文といっても、その範疇は非常に広いのです。
言語、思想、学問、教育、文化、メディアなど、どこからでも出題できます。
ある程度、勉強し、少しはわかったつもりでいるケースが1番危険です。
「わかったつもり」が少しも機能していないパターンです。
まず語彙がわからない。
知らない言葉が多すぎる。
抽象的な内容を説明するための具体例もピンとこない。
これではほとんど勝ち目がありません。
まさに土壇場というべきでしょうね。
どうしたらいいのか。
問題文が理解できていないのです。
勉強不足は明らかです。
それでも制限字数の9割は書かなくてはなりません。
あなたならどうしますか。
課題文を自分なりにできる範囲で、咀嚼することです。
なんとか噛み砕いてみる。
それを自分の知識の断片と繋ぎ合わせるのです。
あなたが知っている内容とできるだけ関連したこととあわせて、なんとか問題提起まで持ち込みます。
ここまでできれば、かなり先が見えてきます。
キーワードのチェック
次にプラスとマイナスのキーワードを探します。
筆者は現状をそのままでいいとは言っていません。
必ずどこかを直すべきだとか、理解しなおせと主張しているのです。
もっといえば、今までの認識ではもう通用せず、これからの考え方は次のようなものだと述べているのです。
表現の中に直すべきマイナスの言葉と、これから伸ばしていくべきプラスの言葉が混在しています。
それを分けてください。
そしてその中に自分の知っているテーマがあったら、そこに話題をみつけることです。
つまり接点をさがすのです。
絶対、あなたに書ける内容があるはずなのです。
それを自信なげに書いてはダメです。
言い切ってしまうこと。
少しくらい方向が間違ってもかまいません。
小論文は強く断定すれば、その論理が1人で歩き出すのです。
すると、あなたが書いている文章が自然に生きてきます。
過去の経験や、見聞とからめていくと、200字くらいはすぐに字数が伸びます。
この感覚を大切にしてください。
どうしても書けない時は強く言いきることです。
意外なくらい、その先が開けます。
課題文にはいくつものテーマがあります。
その中で自分に書けることに着目しましょう。
そこだけを深く掘り進むのです。
そうするだけで、字数が自然に稼げるようになります。
説明をきちんとする
それでもどうしてもダメな時は、本当の土壇場ですね。
課題文の中に何も見いだせないということは、通常考えられません。
教育の話が出てきたら、自分の学校時代のいろいろなエピソードがあるはずです。
いじめ、SNS、不登校、試験、クラブ、友人関係など、少し考えただけで、裾野が一気に広がります。
メディアもそうですね。
毎日、触れているスマホがメディアそのものなのです。
そこに疑問や不審を抱いたことはありませんか。
文化も同じです。
日本の文化に対して疑問を感じたこと。
あるいは優れていると思ったこと。
その全てが課題と知識の接点になるのです。
よく考えてください。
あなたは今、土壇場にいるのです。
ここで制限字数まで文字を書かなければ、合格は望めません。
そうだとしたら、頭に浮かぶあらゆることの中で、最も課題文のテーマに近いことを書く以外に生き残る方法はありません。
少しでも具体的な内容にして、自分にひきつけてみるという手もあります。
内容をあなたの知っている別の内容で、説明してみるという方法もあります。
とにかく恰好をつけている場合ではありません。
火事場の馬鹿力という言葉があります。
何も書かずに不合格になるくらいなら、なんとか埋めてください。
自分の得意な話に引きずりこむことも可能です。
どうしても書けない場合は、筆者の課題をそのまま問題提起にして、書き出しの部分を長くする手もあります。
あらゆる方法を練習してください。
それ以外に生き残る道はありません。
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土壇場とはそういう状況なのです。
今回も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。