総合型推薦
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今や、私立大学合格者の60%近くが推薦入試組の時代です。
国立大学でも次第に増えてきました。
年内入試という言葉を聞いたことがありますか。
年があける前に、合格を決めてしまうという入試システムです。
推薦入試にはいくつかの型があります。
学校推薦型選抜と総合型選抜です。
前者は各大学が希望する成績の枠組みをあらかじめ、高校側に提示します。
したがって、3年間の評定平均値などの基準をクリアしなければ、願書を出すこともできません。
高校では成績、欠席日数などを総合的に判断し、生徒を推薦します。
事実上、この段階で合格が決まります。
後者の総合型選抜は、アドミッションポリシーに合致した学生を選び出す試験です。
成績の枠組みはそれほど厳しくありません。
どれだけ、その学校の教育理念に自分がふさわしいのかということをアピールする試験なのです。
そもそもアドミッションポリシーとは何なのか。
それさえもはっきりわかりませんね。
大学の募集要項をじっくりと読んでみてください。
その最初の方に必ず大学の教育理念や特色が示されたページがあります。
そこに書かれたことがまさにアドミッションポリシーなのです。
教育理念への共感
したがって、1番大切なことは、この教育理念に心から共感するところから始まります。
志望したい学問の方向性が、自分の意欲や熱意と重なるのかどうか。
それをチェックするところから、すべてが始まります。
しかしそれをただ見ているだけでは意味がありません。
それをどう相手にアピールするのかということがポイントなのです。
大学側は、それを見極めるために、さまざまな方法を使います。
基本は小論文と面接です。
それも大学によってさまざまな方法をとります。
集団討論をしたり、プレゼンテーションを課したりすることもあります。
あるいは共通テストの結果や英検、その他のグレードを要求するケースも考えられます。
内容は実に多岐にわたっているのです。
それというのも、大学が求める学生の内容が実質が異なるからです。
多様な選抜方法をとることで、受験生の資質を素早く判断したいのです。
その選考形式にうまく合致し、アピールが完結した時、総合型選抜に受かることとなります。
受験生は最初に何をするべきなのでしょうか。
まずHPをチェックしてみることです。
このレベルのことが自分で確実にできないような人は、このタイプの試験にはエントリーしない方がいいです。
積極的に自分から進路を切り拓いていくエネルギーが、確実に必要になります。
大学側からの最初のメッセージはどこにあるのか。
今や、ほとんどの情報はネット上にあります。
特に私立大学の場合はほぼすべての内容をHPに網羅してあります。
ここで大学の沿革などをしっかり読み、理解することが大切です。
どういう学生を必要としているのか。
机に座って学問をし、知識、教養を高めることはもちろんです。
しかし、それ以上に課外活動などに積極的に関わる資質を持っていることをアピールする必要があります。
その他にどのような資格を持っているのかも、大きな意味を持ちます。
ガクチカ
大学生の就職試験の時によくエントリーシートの内容が話題になりますね。
その中に「ガクチカ」と呼ばれる表現があります。
これは学校時代、1番、力をいれたことは何かという話題です。
大学入試の場合まで話を引き延ばしてみましょう。
わかりやすくいえば、中学高校を通じて、エネルギーを費やしてきたことは何かいうことです。
ただし、何をしたという事実をいくら書いても、あまり意味はありません。
大切なのは、そこで何を得たのかなのです。
もちろん、失敗したことにも意味があります。
どういう失敗をして、その結果、そこからどう復活し、あるいは復活できないまでも、その果てに自分がどう変化したのかということが、ここでは最大のアピールポイントになります。
採点者の共感をどの程度得られるのかが、大切なのです。
スポーツでの実績や福祉活動をしたことにも当然意味はあります。
しかしそれ以上に、そこで何を得たのかが問題なのです。
英検取得も高いグレードであれば、当然評価があがります。
しかしその実績を得るために、どのような努力をしたのか。
勉強の仕方がどのようであったのか。
それが最大のアピールポイントなのです。
実績をアピールする方法には、いくつか効果的なものがあります。
客観的な第三者からの評価があれば、説得力が増します。
第三者の評価
コンテストの賞状、資格証明書は有効です。
NGO、NPOの活動などは、関係者から推薦証明などを書いてもらえれば、意味があります。
それでは総合型推薦に向いてない人はどのようなタイプの人なのでしょうか。
不合格になりやすい人には、似た傾向があります。
一言でいえばアグレッシブでない人です。
最初に示したアドミッションポリシーを、明確に理解していないパターンがその典型です。
➀何を勉強したいのか、はっきりしない。
②大学で何を学びたいのか、目標が明確でない。
③大学の特徴をよく理解していない。
④面接や小論文の対策が十分でない。
これにつきるでしょう。
どうしてもこの大学のこの学部に入りたいと思えば、そのための研究に日々余念がないはずです。
過去問を十分に研究してきたはずなのです。
それをしていないというのは、やはり熱意がないと思われても仕方がありません。
大学が知りたいのは、その受験生の過去と現在と未来です。
どこからきて、ここで何をし、その後どこへ行きたいのか。
これに尽きるでしょう。
そのための対策ができていないのでは話になりません。
その他、面接室への入り方とか服装などに神経を使うことは言うまでもありません。
それぞれの場面における基本コードを知ることも、将来への布石です。
十分な実力があれば、それをすべて示すことです。
近年は身分、門地、性別、信条、宗教など、個人情報については、大学側も非常に神経をとがらせています。
入試の際にそうした質問をすることは控えることが、不文律なのです。
余計なことを心配するよりも、むしろ社会的な切り口をいくつも持つために、新聞などに日頃から目を通しておくことが必要です。
小論文の勉強
総合型推薦入試で大切なのは、小論文です。
さらにいえば、志望理由書に自己をアピールしきることです。
小論文は過去問がある場合は、その傾向をしっかりと掴む必要があります。
一言でいえば、何が出題されるか、まったく予想がつきません。
HPはもちろん、大学の説明会などへいって、参考資料を集める必要があります。
高校や塾などの資料室にファイルしてあるケースもあるので、とにかく果敢にアタックしてみてください。
そのエネルギーが全てにわたってないと、このタイプの入試ではうまくいきません。
大切なのは書いたら添削してもらうことです。
そのままにしておいても、うまくはなりません。
信頼できる先生になおしてもらいましょう。
その繰り返し以外に上達する道はないと考えてください。
ここで示す国語力が、ある意味であなたの学習能力を証明することになるのです。
総合型には評定平均値のワクがない場合が多いので、なおさら大切です。
このタイプの試験には、一般選抜で合格することが難しい大学にでも合格する可能性があるケースがあります。
国立大学も最近はかなり、総合型の試験を取り入れるところが増えてきました。
私立大学は言うまでもありません。
受験戦線は偏差値至上主義から、少しずつ抜け出しつつあります。
自分にあった大学が見つかったら、さっそくアクションを起こしてください。
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調べるだけならば、すぐに始められます。
けっして無駄にはならないはずです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。