書けない悩み
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は作文と小論文の決定的な違いとは何かについて考えてみましょう。
永遠のテーマですね。
初心者にとってはわかっているようで、よく理解できない謎の領域です。
自分ではちゃんとやっているつもりなんです。
しかしどっちを向いて書いているのかわからない。
五里霧中というヤツです。
間違いなく小論文のつもりで書き始めたのに、いつの間にか作文になってしまったということもあります。
入試の問題の中にも作文なのか小論文なのかの区分けがはっきりとしていない問題もあります。
しかし厳密にいえば、入試に作文は出ません。
どこが決定的に違うのか。
気になりますよね。
先生に見てもらおうと思って持っていくと、これは作文だねと言われた経験があったかもしれません。
本当に初歩的な話ですが、案外よくわかっていない人が多いのです。
作文は主として自分の体験を書くものだと覚えておいてください。
文章の最後はその体験についての感想でしめくくればいいのです。
例えば修学旅行に行った思い出があったとしましょう。
その時に出会った風景や経験、さらに友人との会話、行動などが主題となります。
最後に楽しかったということを書きたいのなら、その中の何がどんなふうに楽しいと感じたのかを書けばいいのです。
小学生の頃から、何かの行事のたびに感想文などを書かされてきたのではありませんか。
それを踏襲してもらえればいいのです。
そんなに難しいことではありません。
小論文の役割
それでは小論文とはどういうもののことを言うのでしょうか。
作文との決定的な違いは何か。
それはあなたの意見が示されているかどうかです。
作文にだって書いたという人もいるでしょう。
あれは意見ではありません。
単なる感想です。
自分がどう感じたのかをまとめただけです。
理由の論理的な説明は必要ないのです。
ただ感情をストレートに書けばよかったのです。
小論文は違います。
1番大切なのは自分の考えを論理的に述べるということです。
あるテーマについて深く考え、それについて自分の論点を示すのです。
それには課題文の内容をきちんと理解しなくてはなりません。
その次に何が問題なのかを明らかにします。
筆者の考え方に対してYesNoをはっきり述べると輪郭がくっきりしてきますね。
次になぜそう考えたのか理由を示すのです。
この部分が最も大切なポイントです。
ここで意見の根拠を十分に示せないようでは、小論文の価値がありません。
あくまでも「客観的」な文章が必要です。
自分勝手が1番ダメなのです。
根拠のない仮説を立てて、論じるなどというのは最低です。
誰が読んでも、この論理で進んでいくと、必ず結論としてこの内容が導かれるに違いないということを示さなければいけません。
小論文には基本的に自分の感情を入れてはダメです。
むしろそうしたものを排除しつつ、なるべく外部の人の目を意識して内容を組み立てていきます。
ここでいう外部の目というのは社会的な視点ということです。
誰もがその理由を納得できる大きな枠組みの中に入っているものでなくてはなりません。
内容的には圧倒的に社会的なテーマが多いです。
きちんと書くためには、新聞などを丹念に読む習慣が必要でしょう。
SDGsなどに沿ってチェックしてみるのもいい方法です。
説得力のある文章が書けますか。
文体は「である」調
試しに「地球温暖化」というテーマに関する課題文を読んでまとめてみて下さい。
想像以上に難しく感じるはずです。
今年も多くの学校で出題されるでしょう。
キーワードをマークしながらまとめてみてください。
どこが核になるのか。
中心の主題は何か。
筆者は何がどうだと言っているのか。
それに対してあなたの意見はどのようなものですか。
課題文の内容にあまり引っ張られ過ぎてはNGです。
新鮮味がなくなってしまいます。
少しでもあなたらしさを出すこと。
それが採点者の目にとまるのです。
基本は分析力です。
小論文のうまい人は、いつも第三者的な目を持っています。
冷静な視点をキープできる人です。
当然、言葉の使い方も違ってきます。
小論文は「~である調」の一択です。
他にはありません。
よく「である調」で書きなさいというと、すべての文末が「である」になってしまう人がいます。
もちろん、これは論外です。
詳しくいえば、「だ、である」調です。
「~だ」「~に違いない」「~ではないか」「~である」などバリエーションはいくつもあります。
同じ文末にならないように注意してください。
初心者ほど、前の文章の表現に引きずられてしまう傾向があります。
作文との決定的な違い
作文には決まりがありません。
「である調」と「です・ます調」のどちらでもいいのです。
その時の内容に応じて決めてかまいません。
「です・ます調」は柔らかい印象を読者に与えます。
このブログの文も柔らかな印象をキープするため、文体にはかなり気を使っています。
しかし文章そのものがどうしても長くなりがちです。
力強さには欠けてしまいます。
それでなくても小論文には字数制限があります。
内容を濃くするためにも「である」調で書き、曖昧な言い方は避けます。
言い回しは断定を基本にしてください。
文体は必ず統一することです。
自信がないと、つい「~だろう」などといった推量表現を使いがちです。
これはダメ。
やめてください。
文章のパワーはどこから出ると思いますか
断定的な表現からなのです。
ではそれを保証するものは何かを考えてみましょう。
正しい論理です。
社会的通念に照らし合わせても無理がないこと。
理屈にあわないことをいくら書いても意味がありません。
小論文を成功させたかったら、最後まで論理性を貫くことです。
誰が読んでも間違いがないと思わせることが大切です。
そのためには、かなり抽象的な表現も必要とします。
言葉の数ですね。
いろいろな言い回しを知らなくては、もちろん書けません。
まだ時間はあります。
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焦らずに着実に勉強を続けてください。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。