上達のコツ
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は書き続けることがどれほど大切なのかについて考えてみます。
なんだそんな単純なことかなどと言わないでください。
実はこれが最短で文章が書けるようになるための唯一の方法論なのです。
ぼくのところへ添削の依頼にくる生徒は10月の末頃から急に増えます。
入試が1月から2月にかけてあるからです。
それまでになんとか上手になりたいと思うのでしょう。
当然他の教科もあります。
小論文だけやっているワケにはいかないのです。
添削を希望する生徒はどんなテーマで書けばいいのかを最初に訊いてきます。
過去問をやってみたけど、チェックしてほしいと言ってくる生徒もいます。
どちらでもかまいません。
とにかく書いてみることから始めなくてはならないのです。
断言しておきます。
この方法以外に上達する道はありません。
よくこれだけ読めば書けるようになるという参考書がありますね。
あれはウソです。
誰でも読むだけで上達するのなら、なんの苦労もしません。
スポーツのトレーニングについて、ちょっと考えてみてください。
例えばスキーです。
教則本を読んで誰でも滑れるようになれますか。
水泳も同様です。
畳の上の水練という表現があります。
泳ぎの型を知っていたとしても、畳の上では上達しません。
とにかく練習
上達したければ、実践あるのみです。
書いてみてはじめて自分の文章力がいかに不足しているかを実感します。
答案をみると、最初のうちは文章になっていないケースが殆どです。
ひどいのになると、段落のまとまりが全くありません。
何を論じようとしているのか理解すらできないのです。
これで本当に国語の勉強をしてきたのかと思いますね。
一言でいえば、論文をまとめた経験がないのです。
文章を書いたことはたくさんあります。
遠足に行けば必ず何か書かされます。
社会科見学、職場体験、講演会の後などにも文章を綴ってきたのです。
読書感想文も同様です。
自分の感じたままを素直に書くという作業はたくさんしてきたのです。
しかし小論文となると、全く歯が立ちません。
論理だけで筋道を立て、文章を書く経験をしていないのです。
自分の中に眠っていた論理性の芽を育てることをしてこなかったのです。
グローバル化の時代に必要なスキルは他者を説得する力でしょう。
それも言葉で論理を構築しながら行わなければならないのです。
同じ民族が1つの島の中で仲良く暮らせばよいというレベルではとうになくなっています。
しかし論理性を重視するといってもどのように文章を書けばいいのかがわからない。
とにかく経験が圧倒的に不足しているのです。
1つのテーマに対して正対したことがありません。
すなわち、言葉の使い方にも無理のあるものが圧倒的に多いのです。
文体のミス
「である」と「ですます」の混同などはごく当たり前に見受けられますね。
指摘されても、まさかという顔をします。
自分では全く意識していないのです。
1つの文の中に主部と述部が2つも3つもあるような文を書く人もいます。
逆にいえば、それだけ長文が多いのです。
どこから内容を読み取ればいいのかよくわかないケースもあります。
ある程度形が整ってきた段階で内容に踏み込みます。
しかしここからが、また長い道のりです。
ものの見方がきちんと定まらないうちに文章を書きだしてしまうのです。
どこへテーマをしぼって集中させたいのかがわからなくなってしまうようです。
読まされる方はもっと大変です。
それでも少しずつ解読して添削をします。
文体の統一が完了すれば文が書けるようになったのは以前のこと。
近頃はそこからかなりの時間がかかるようになりました。
言葉に対する感受性が落ちているような気がします。
読書時間も極端に少なくなっているのでしょうね。
普段使っている言葉遣いをそのまま論文に使うケースも多いです。
「そうじゃない」とか「食べれる」などの口語表現が出てくると、少し悲しくなります。
いずれにせよ、2日に1度は書いて持ってくるように指示します。
最初はトンチンカンな文しかし書けなかった生徒でも、いくらかずつ読めるようにはなります。
ただし決定的な難点としては新鮮な視点がないことです。
どうしても引き出しが少ないということが露見してしまうのです。
キーワードを応用する
どんなテーマであれ、最低限の知識は必要です。
AI時代を生き抜くためのスキルとは何かといったら、最初に何が思い浮かびますか。
すぐにこれとこれだけは押さえておこうと考えられないようではNGです。
知識としてプールしておかないと、何を書いても通じません。
何も思い浮かばないという生徒に対して、参考までにということで、このブログの記事を紹介することもあります。
すると、これを読めば受かりますかと訊いてくる生徒もいます。
文章をまとめるには発酵するための時間が必要です。
思考をきちんと自分のものにするのはそれほど簡単なことではありません。
新聞、雑誌、書物、実地体験などを重ねながら、自分の内側に宿し肉にしていかなければならないのです。
短時間で書けるようになるなら、なんの苦労もしません。
それでも書くことを諦めないでください。
いくつかのテーマをまずやってみる。
過去問がいいでしょう。
どれでもかまわないので、とにかく書いてみる。
そして声に出して読む。
一読すればひっかかるところが必ずあるものです。
そこで文脈がねじれています。
「てにをは」の使い方もおかしいのです。
添削してもらう前にそこまではやっておく必要があります。
句読点の打ち方も曖昧な生徒がいますね。
特に読点はブレスとの関係が強いので、人によって微妙にかわるケースがあります。
それでも一応の目安はあります。
これも慣れです。
次第にテーマの練習をしているうちに、文章のコツを手に入れてくれればしめたものです。
しかしそこに至る道は険しいです。
ただし入学試験の場合は満点をとる必要がありません。
最低限のラインに滑りこめばいいのです。
そのためには文章の骨格がしっかりしていること。
起承転結の転を抜いた「起・承・結」か「序論・本論・結論」の3段論法がいいでしょう。
文句を言わずにひたすら書いてください。
しばらくすると、以前できなかったことが自然にできるようになっています。
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言葉が次々と飛び出してくるようになったら、なんとかなると思っていいです。
そこまで粘れればあなたの勝ちです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。