【医療看護系小論文】コロナ後の衛生管理は喫緊の神経戦【清潔志向】

小論文

今年度の最大テーマ

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回はコロナ後の生き方を考えましょう。

特に医療系の大学を受験しようとしている人にとっては避けて通れないテーマです。

一言でいえば「衛生思想をどう考えるか」ということです。

今回の新型コロナウィルスに関しては、本当にいろいろな議論がされてきました。

中国・武漢での第一報に始まって、瞬く間に全世界がパンデミックの様相となりました。

東南アジアからヨーロッパ、アメリカ大陸へと拡大した感染症は今もとどまるところを知りません。

グローバル化した地球は人の移動を制限できないのです。

Activedia / Pixabay

すぐに経済がストップしてしまいます。

それでも今回だけは、どうにもなりませんでした。

都市封鎖があちこちで行われ、人の往来も途絶えました。

飛行機を使っての長距離移動は激減しました。

さらに日本ではほぼ外国人のインバウンド需要が消滅したのです。

飲食、観光業は圧倒的なダメージをうけました。

それでも安全のためには皆が協力せざるを得なかったのです。

感染症の恐ろしさはSARSやBSEなどを通じて熟知しているはずでした。

しかし現在、第2波が来たのではないかという怖れが再び、あちこちの国を襲っています。

きれい好きと言われる日本人ですが、近代的な衛生概念とは何かという問題は、今年度最大のテーマになりうるのではないでしょうか。

医療系の大学をうける時、感染症の問題と衛生概念を抜きにしての小論文はあり得ません。

必ず出題される最大のポイントです。

基本的に何が問われるのか。

それを仔細に見ていきましょう。

病原菌を防ぐということ

多くの外国人が来日して1番最初に言うことは、日本がいかに清潔かということです。

トイレのきれいなことは外国を旅行した人なら誰でも知っていることです。

便座1つついていない国がいかに多いことか。

さらにいえば、シャワー型トイレの普及です。

主要なビルにはほぼ完備しているといっていいのではないでしょうか。

外国人が驚くのも無理はありません。

トイレットペーパーを便器にそのまま流せるというだけで驚きなのです。

換気装置や手洗い施設など、実に細かく配慮されています。

最近では除菌や匂いに対する意識も非常に高くなり、多くの商品が販売されています。

脱臭に対する考え方も進んでいます。

スポーツの後、すぐにスプレーを身体にかけたりする姿は珍しいものではなくなりました。

さらにいえばマスクは今や必需品です。

マスクなしで一般の店に入ることはできません。

電車などの公共交通機関を利用することも不可能でしょう。

殺菌のためアルコールで手を拭くという行動も自然なものになりました。

各家庭にジェルなども用意されているようです。

一時は品薄になりましたが、今では十分に確保されています。

マスクなどで皮膚が過敏になり湿疹が出たり、かぶれたりする人まで出現しています。

mohamed_hassan / Pixabay

清潔にすることは大切ですが、どこまでやればいいのでしょうか。

多くの人が出入りする飲食店では、客同士の距離を離すことはもちろん、除菌にも人一倍気を使っています。

清潔なのはいいことだというレベルを突き詰めていくと、どこまでいっても小論文になりにくいのも事実です。

何かそこに問題点はないのかという視点がどうしても必要でしょう。

あれもこれもいいことだというだけでは、論点が出てこないのです。

小論文の論点を探す

基本的に清潔志向はいいことだが、行き過ぎは危険という書き方をするしかないでしょう。

けっしてやめてしまえと言っているワケではありません。

どこを見直していけばいいのかというところが最大のポイントです。

この問題は正面から扱う限り、絶対にNoとは言えません。

消毒をやめていいという論拠はどこにもないからです。

としたら脇から攻める以外にないのです。

それは何かといえば、過剰な防御に対する反省しかないでしょう。

日本人の多くが東南アジアを旅行すると、下痢をするという話はよく聞きます。

屋台などで食事をした後、腹痛を起こしがちなのです。

あまりにも清潔な国の中で、ほとんど細菌と遭遇していなかった人は少しでも衛生状態に問題があると、すぐに具合を悪くしがちです。

近代医学は新しい病気が出ると、必ずそれに対する薬やワクチンを開発してきました。

今は幼児の段階で何種類もの予防接種をします。

そのおかげで、重症にならずにすんでいるのです。

しかし細菌を全て排除していくことが本当にいいことなのかどうかは議論の分かれるところです。

いわゆる免疫力の低下がそれです。

ハシカやヘルペスなどは、かつては誰もが必ずかかる病気でした。

今はそれも予防接種で軽度に抑えられています。

花粉症やアトピーなどのアレルギー症状も同じです。

清潔になったことで身体が先天的に持つ免疫力が確実に落ちているといっても過言ではありません。

ではどうしたらいいのでしょうか。

清潔にすることは悪いことと決めつけるのには無理があります。

感染症と上手くつきあう

清潔になりすぎてはいけない。

しかし不潔であってはなおいけないとなったら、第3の道はどこにあるのでしょうか。

ズバリ、上手くつきあうというしかありません。

全てをシャットアウトすることは無理でしょう。

3密を避ける、ソーシャルディスタンスを守る。

手荒いの励行、規則正しい生活などいった基本的なルールを守りながら、社会生活を送っていく以外に道はないのです。

それは衛生管理ではないという意見はおそらく出ないと思います。

まさにこれこそがグローバル時代の生き方なのではないでしょうか。

今後もコロナより強力な感染症が出ないという保証はありません。

ワクチンの開発にまだ時間がかかると言われています。

衛生観念を広げるにはよりグローバルな視点が必要です。

その1つはWHOなどの世界機関による広報、援助体制の充実でしょう。

どこかの国を向いただけの組織であってはなりません。

国際社会が協力する姿勢をみせない限り、効果は限定的なものになってしまいます。

病院に頼ることももちろん大切です。

しかし院内感染の危険がないワケではありません。

医療従事者になるということは、こうした感染症と戦う覚悟が必要になるということです。

今回のコロナウィルス蔓延は、ある意味、医療分野に携わろうとする人間にとって、大きな試金石になりました。

明らかに以前とは様相が違っています。

病院経営の難しさも広く知られるようになりました。

外来患者数も確実に減っています。

それでも自分が医療系に進むという意志を持つ限り、この問題と正対して欲しいと感じます。

どこまで清潔になればいいのか。

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本当に難しいです。

大きなテーマに違いありません。

勉強を続けてください。

今回も最後までおつきあいくださり、ありがとうございました。

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