小論文テーマ
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
勉強ははかどっていますか。
近年のトレンドはまさに接続可能な社会の中で真の実力を培うということです。
私立中学校、高校の入試では、新学習指導要領をふまえて新しい学力観を問う問題が増えつつあります。
あらゆる課題を「自分の問題」として捉える力がどの程度あるのかということをみるのです。
世界が抱える難題課題の解決に向け、自分にできることは何かということです。
自分にとって価値あることとは何か。
将来に対して持つべき目標とは何か。
いわゆる探求型の学習がさまざまな教科で進んでいるのです。
もう問題に対して先生が模範解答を与える時代ではなくなりました。
つねに自分の学びをふりかえり、疑問に答えるための読書、イベントを心がけることが大切です。
机に向かうだけが勉強ではありません。
映画鑑賞、博物館めぐり、旅行。
あらゆる手段を通じて自分の周囲との接点を探していく。
わかりやすくいえば、好奇心を喚起するということです。
もちろん新聞をじっくり読むという作業もそこにはついて回ります。
大学入試だけがこの流れから取り残されている訳ではありません。
2030年に向けて世界が合意した「接続可能な問題」とは何か。
これが大きな来年の入試問題にかかわってきます。
英語の表現ではSustainable Development Goalsと呼ばれます。
国連サミットで採択された17分野の目標のどれが入試問題に出ても、不思議ではありません。
逆にいえばこのテーマをおさえておくということが大切になります。
2 飢餓をゼロに
3 すべての人に健康と福祉を
4 質の高い教育をみんなに
5 ジェンダー平等を実現しよう
6 安全な水とトイレを世界中に
7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8 働きがいも経済成長も
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
10 人や国の不平等をなくそう
11 住み続けられる街づくりを
12 つくる責任つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう
16 平和と公正を全ての人に
17 パートナーシップで目標を達成しよう
過去の入試小論文
それでは過去5年間に出題された入試小論文にはどのようなテーマがあったのでしょうか。
具体的にみていきましょう。
教育とはどのような営みか
古典を学ぶ意味
情報の活用と生産
豊かさについて
異文化理解のむずかしさ
イノベーションが社会にもたらす影響について
日本の構造改革と格差社会の問題
都市から地方への移動について
子供の貧困問題について
メディアの変化と未来像
格差社会の今後
高齢者の車の運転について
日本の子どもの貧困率
農業保護政策と米の貿易自由化
いかに多くのテーマがあるかに驚かされます。
そしてどれもが難しく、簡単に正解を出せるようなものではありません。
出題する大学側は受験生に正解を求めているわけではありません。
勘違いしないでください。
決められた制限時間の中で、与えられた条件の課題文を読み、そこから引き出せる考えとしてどのようなものがあるのかを導き出す能力を見ているのです。
けっして正解はなにかと問うているわけではありません。
というか、正解などないのです。
受験生は正解を追うことになれています。
しかし小論文が他の試験と唯一違うのは、正解のない大海原を漂流していく試みだということです。
それでもその中で、何が最良の解決策なのかを自分の頭で考え続けた人だけが合格します。
その訓練をしてこなかった人は、どんなに名文を書いても評価されません。
ポイントは論理構成力です。
どうしてこの結論にまでたどりついたのかということが立証されればよいのです。
語弊はありますが、入学のための試験です。
合格することが目的です。
何かの賞をとるわけでもありません。
その最も基本的なところを勘違いしてはなりません。
最低9割は書くこと。
誤字は書かないこと。
主部と述部の対応しない文章は書かないこと。
そのためには短文を積み重ねていくことです。
書き終わったら自分で声に出して読んでみてください。
黙読はダメです。
意味が通らないところは文脈が乱れています。
書き直してください。
入試予想問題
最近の流れの一番はコンピュータ関連です。
チェックしておいてください。
キーワードは「AI」。
AIと人間との共存は可能なのかということにつきます。
「人工知能は人間を幸せにするか」というテーマは経済、教育、文化などのあらゆる分野とリンクし、出題がしやすいのです。
「ITリテラシー」の問題とからめて、自分はどう考えるのかということをつねに明確にしておくこと。
どのような切り口から質問されても文章がまとめられるようにしておく必要があります。
「医療問題」は文系でも十分に出題される可能性を持っています。
新しい技術が次々と発表され、それに対応して、生命倫理そのものが問われています。
SPI細胞以外にも出生前診断など多くの話題があります。
確実にチェックしておきましょう。
また2020年には大幅な「教育改革」が予定されています。
アクティブラーニングとか、クリティカルシンキングといった用語が小論文にも登場します。
単語の意味と背景をきちんと理解しておかなければいけません。
何が新しい教育なのか。
なぜそのような改革をする必要があるのか。
世界の構造がどのように変化しているのか。
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自分できちんとまとめておくことです。
「ジェンダー問題」も深刻です。
セクハラの文字が新聞に出ない日はありません。
同性婚などの承認という新しい時代を迎えています。
自分の意見を基本的に一度まとめてください。
今後数年にわたって必ず出題されるテーマとして少子高齢化の問題があります。
年金とからんで、今後の日本をみていく上でのキーワードです。
小論文の出題者は、比較的高齢の働き盛りの人が多いです。
彼らにとって、このテーマは喫緊の問題であり、事態の深刻さは並々のものではありません。
自分の専門分野にからめて出題したいという気持ちになっても不思議はありません。
高齢者医療、ターミナルケア、介護保険などのテーマは、毎年必ず出されています。
この問題はさまざまなところで使えるので、ぜひ学習しておくべきところです。
毎年の統計をとると、課題文型の問題が6割近くあります。
何らかの文章を読ませて、それに対する考えをまとめつつ、小論文を書くというスタイルが基本でしょう。
国語力が大切
ここで最も重要なのは国語力です。
読解力がなければ、問題の意図が理解できません。
誤読は最悪です。
課題文が最大のヒントだということは一貫して真実です。
テーマ型などは教育学部系でよく出されますが、ある程度の知識がないと文章が散漫になります。
時事問題についての小論文などは普段から新聞を丹念に読み込むことでしか、対策がありません。
ネットで表面だけを理解したつもりでいても、文章にはなりません。
必ず背景を理解しておくことが大切です。
また統計資料型は図表との関連で多く出題されます。
テーマは環境問題、少子高齢化、食料自給率、事故、自殺死亡者数といった多岐にわたるものがあります。
いずれにしても自分が受ける大学の過去問は絶対に調べておくことです。
なんとか自力で制限時間内に書き上げてください。
指導してくれる人がいたら添削してもらってください。
小論文は自己採点のできない科目です。
大きな声を出して読んでください。
テーマは実に広く、内容は難解を極めます。
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本当の実力をつけつつ、問題に挑んでみること。
合格の日を夢見て頑張ってください。
心よりお祈りしています。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。