リスニング
こんにちは。
元都立高校国語科教師のすい喬です。
今回は2020年度実施予定の大学入学共通テストで実施されるリスニングについて考えます。
現在明らかになっている情報によれば、英検などの外部試験を受けて、そのランクを入試の時提出することになっています。
ただし詳細についてはまだ変更の余地があります。予断を許しません。
十分、注意してください。
いずれにせよ、新しい外部試験では書くこと、話すことに重点を置いたテストがおこなわれるのです。
それならばなぜ今回リスニングを取り上げるのか。
赤ちゃんを思い出してください。
生まれて1年以上、赤ちゃんは大人の会話をただ聞いているだけです。
もちろん、喃語と呼ばれる赤ちゃんだけの言葉を発しますが、それは意味のある言葉ではありません。
それがある日、突然喋り始める。
これはなぜでしょう。
それまで黙って聞いていたのが圧倒的な意味を持っているのです。
つまり聞けなければ話せないのです。
リスニングができない人は、スピーキングも絶対にできません。
今度の入試は帰国子女にとってはかなり有利な予感もします。
しかしそんなことは言ってられません。
国立大学に入るためにはほぼ必須。
私立大学でも新テストを利用するという大学名が発表されつつあります。
NHK外国語講座
外国語を学ぼうと思ったら、まず聞くことです。
しかしそのために費用をあまり使いたくありません。
できれば安くすませたい。
時間もとられたくない。
他に勉強しなければならないことが山とあります。
英語でいえば、英文解釈も文法もやらなくちゃならない。
それに他の科目もあります。
数学、国語、世界史など…。
となれば、なるべく少ないエネルギーで、高い効果を手に入れたいということになります。
どうしたらいいのか。
ネットなどを利用したほぼ無料に近い英会話のプログラムはいくつかあります。
しかし基本的には日常の英会話をテーマにしたものが多いようです。
どちらかといえば、そこで使われる単語はやさしいものばかり。
入試に必要な単語がでてくることはあまりありません。
あくまでも安い費用で、効果の高いものはないか。
かつてアメリカに3週間ほど研修旅行で行ったことがあります。
帰国後、とにかく英語のシャワーを浴びたかった。
これからの時代は英語だと肌で感じたからです。
しかしお金をあまりかけたくはありませんでした。
できれば日常的に学ぶことができるもの。
いくつも探しました。
英会話の教室は駅前にたくさんあったものの、当時のニーズを満たすことはできませんでした。
英語の教科書などあまりにもやさしい内容なので、しばらくすると飽きてしまいます。
それではダメ。
内容的にも耐えうるもの。
さらに後々まで必ず使え、役にたつもの。
いろいろと探しました。
簡単に語学講座とはいうものの、その種類は多岐にわたっています。
どうせなら一番内容の高度なものにしようと思いました。
英会話も聞いてみましたが、やはりテーマが面白くなかったです。
やっと見つけたのが「やさしいビジネス英語」です。
当時は月曜日から金曜日までの放送でした。
ところが聞いてみると、これがとんでもなく難しい。
講師は杉田敏さん。
ご存知ですか。とにかくすごい人です。
タイトルからはしばらくして、「やさしい」がなくなり頭に「実践」の2文字がつきました。
最初聞いた時、あまりにスピードが速く、何を言ってるのか全く聞き取れませんでした。
テキストを見ないで、ビニエットを聞けというので、ぼんやりと聞き流すだけでした。
アメリカの広告代理店につとめた主人公が、異国の文化の中で感じる様々な出来事を通して日々の暮らしを考えていくという内容のものです。
今までまったく聞いたことのない語学番組だったのです。
大変、新鮮でした。
現在は次のようなタイムスケジュールで放送されています。
放 送:水~金曜日 午前9:15~9:30
再放送:同日 水~金曜日 午後 0:40~0:55/午後11:20~11:35
再放送:土曜日 午前11:00~11:45(3回分)
杉田敏という講師の先生は広告の世界で活躍されている方ですが、今までにであった英語の先生の中で、一番ケレン味のない人だと思います。
ムダなことは一切いわず、要所要所をきちんとおさえてくれます。
この人の言うことならば、信用してもいいということが日々実感として伝わってきました。
元々日本語だけで生きてきたぼくにとって、英語のリスニングを続けるということは、かなりのストレスでした。
しかし内容が高度で斬新だったおかげで、飽きずに聞くことができました。
テキストの読者欄などをみると、10年ぐらいは平気で聞き続けている人の書き込みがあります。
それだけ魅力に富んだ講座だといえるのではないでしょうか。
途中で別の講師になったりしたこともありましたが、やがてまた全ての放送が杉田敏さんになるまで、たいして日数はかかりませんでした。
こうして10年近く、ぼくもこの番組を聞き続けることになったのです。
今思えば、あっという間に過ぎてしまいました。
その後どうしても英語を使わなければならない学校に転勤し、存分に活用させてもらいました。
これほどに長期間、ずっと放送が続いている番組は他にないのではないでしょうか。
英語といえば、立教大学の鳥飼久美子さんや、亡くなったサイマルインターナショナルの村松増美さんなどの名前がすぐ出てきます。
しかし、ぼくにとってはなんといっても杉田敏さんに勝る人はいません。
突然聞き取れる
リスニングを続けていると、突然ある時から単語が切れ切れになって、聞きとれるようになります。
これは耳が完全に英語の音に馴れたということを意味します。
そうなればしめたもの。
最低1年はかかると思ってください。
長い単語のつながりが文脈ごとに聞こえてきます。
あとは新しい単語との勝負です。
ここで勉強を続ければ、受験も楽勝。
足りない抽象名詞の語彙を増やしていけばいいのです。
この勉強のいいところは受験だけで終わらないということです。
これ以降あらゆるシーンで活用できます。
英語はツール
英語はあくまでもコミュニケーションのためのツールです。
そのことが一番強く感じられるのが、この語学プログラムではないでしょうか。
これだけで足りなくなったら、NHKの海外向け英語放送やCNN、BBCなどがあります。
しかし文化の差や、外国の基本情報をおさえておかないと、理解できない場面も多々あります。
最初は日本製の番組をお勧めします。
現在は全てネットで聞くことができます。
「NHKゴガク」で検索すると、3回分の番組が全てストリームで聞けます。
あるいは録音ソフトをもっていれば、まとめてあとで聞くこともできます。
さらに毎月、書店で売り出される1ヶ月分の内容をダウンロードできるチケットも販売されています。
これは忙しい人には大変便利です。
スマホにそのままダウンロードできるというのがとてもありがたいです。
学校で習うヒアリングだけではやはり不十分でしょう。
当然、スピーキングの能力もなかなか伸びません。
その意味で「NHK実践ビジネス英語」はいいですよ。
レベルはC1にあたります。
英検でいえば準1級~1級でしょう。
最初はかなり難しいです。
しかし語学上達の基本は継続です。
続けることができれば、入試などはその手前の関門に過ぎなくなります。
ここで身につけたスキルを使って、さらに世界に羽ばたくことができます。
習うより馴れろです。
毎日の暮らしの中に英語を取り入れてください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
英語力の飛躍を必ずお約束します。
頑張ってくださいね。
速報(2021年2月25日)
ここまでお読みいただきありがとうございます。
2021年3月末をもって杉田敏さんがビジネス英語の講師をお辞めになることになりました。
30年の間、ずっと守り続けてきた最高レベルの講座がなくなってしまいます。
本当にご苦労さまでしたとお礼を言いたいと思います。
彼がいたからこそのビジネス英語でした。
大きな星が1つなくなってしまうような寂しさを感じます。
最後に心からお礼を言ってお別れをしたいです。
後任の先生がさらにこの番組を盛り立ててくれることを祈りたい気持ちでいっぱいです。
本当に寂しいです。
杉田講師のような人はなかなかいないのではないでしょうか。
NHKの人選を待ちたいと思います。