短く言い切る
こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
今日も小論文を書くためのヒントをこっそりお教えします。
評価の高い文章を書こうと思ったら、語尾を曖昧にしてはいけません。
なんでもビミョーとか呟きながら、日々を過ごしていませんか。
絶対にダメ。
自分の立場をはっきりさせましょう。
自分の意見がきちんと書けるだけで、インパクトのある文になります。
つまり説得力のある文章になるわけです。
コンパクトにまとめられた文の中に自分の意見をしっかり組み込みます。
「確かに筆者は~と言っているが、私は反対だ」と書けば、採点者はどういう点で反対なのかとすぐに注目するでしょう。
「まず第一に~のような点、第二に~のような点で賛成できない。その理由は~だ。」
こういう文章の運び方をされると、この生徒は実に論理的な思考力を持っているなと評価してくれます。
しかしその理由が曖昧なものであったり、感情的なものだったりしたら、これは最悪。
はじめに強く出たために、かえって弱点をさらしてしまったことになります。
この4部構成で順序だてて書けば、まず失敗はしません。
あるいは、結論を先に出してしまう書き方もあります。
どこでこの課題文に切り込むのかを決めたら、ズバリと内容を掘り下げます。
切り口は鮮やかに
切り口がグズグズだったら、もうダメ。
ポイントはエッジです。
論点は切り立ってますか。
焦点にスポットをあてて、絶対にはずしてはいけません。
大切なことは言い切る勇気です。
他の人より強く主張すると、あらゆるテーマに食らいついていけます。
ただしあまりにも悲観的な結論はおすすめしません。
なぜか。
それは小論文を書く目的とリンクするからです。
少しでもこれから生きていくための糧にしたいからです。
もうこのまま人類が滅びてもいいというのなら、「知」はいりません。
全ての人間が餓死するか、核戦争を待てばいいだけのことです。
それではなんのための小論文なのかわからない。
どうしたらこの混迷した世界の中で、少しでも希望を持って生きていけるのか。
それを考えたいからこそ、難しいテーマに取り組んでいるのです。
グローバル化とよく言われますが、もちろん功罪はいろいろあります。
しかし独裁体制が続く国は生き残れない。
インターネットの時代になり、情報の独占ということがしにくくなっています。
そうしたことも互いの理解のためには有益なことです。
しかし一方で文化は融合化され、独自のものが薄れていきます。
こうしたテーマをどの観点から捉えていくかで、ものごとの本質は大きく変化します。
逆にいえばそれだけ論点が広く、多岐にわたっているのです。
どちらの立場に自分はより傾いているのか。
相手が他の立場から切り込んできたらネゴシエーションができますか。
わかりやすくいえば、譲歩ができますか。
自分で考えたことなら、ここまでは相手の意見にあわせられるという判断も可能です。
ここで言い切るというのは、そのための下ごしらえができた後でのことを言ってます。
単純にAだからBだではダメです。
こういう風に考えていくと、Aの考えがメインになる。
しかし別の考えに立てば、Bという視点もある。
だが私はやはりAの立場に立ちたい。
なぜならその理由は~だからだ。
こういう立論の仕方をされると、採点者はこの受験生はよく考えているなと感心します。
言い切るというのは、そこまでのプロセスを全て終えた後のことです。
じっくりと思考を重ねたら、そのストーリーをまっすぐにぶつけてください。
そうすれば、高い評価を得られるはずです。
言い切る勇気を持つのは大変なことです。
しかしそれをしないと、小論文は合格答案になりません。
ポイントは首尾一貫ということです。
いくら勇気を持って書けといわれても、論理的につじつまのあわないことを羅列してもダメです。
自分が信念を持って書けること。
それを文章にまとめてください。
主部と述部
主語が何かをはっきりさせたら、必ずそれを受ける述部の言葉を書かなければいけません。
言葉の整合性ということです。
文章のうまくない人は、きちんと最初から最後まで文をつなげるということができません。
宙に浮いた言葉があちこちにあって、どれが主部でどれが述部なのかがはっきりしないのです。
誰が読んでも自然な文章。
これが一番の基本です。
本来の意味を考えて言葉を探してください。
その際、話し言葉の影響を極力避けること。
書き言葉に定着していない表現を使ってはダメです。
典型的なパターンを1つ。
話し言葉ではごくあたりまえ。
ただし可能の意味で使う時に「ら抜き」は許されません。
「着れる」、「食べれる」などという表現を絶対に小論文の中に入れないこと。
「だけど」は「しかし」、「けれど」は「けれども」になおしてください。
「なので」「そして」を連発するのは絶対にやめてください。
ついでにもう一つ。
「こちらコーヒーになります」のような「なります」表現はやめましょう。
小論文はファミレスのバイトじゃありません。
改行と読点は大胆に
文章の苦手な人には改行をすすめます。
改行とは一マスあけて、次の行に進むことです。
改行すると、前の段落に余白が生まれます。
すると読む人はそこで休息ができるのです。
もうダメだ、この話は次に続かないとなったら、ただちに改行してください。
ただし、各行ごとになどというのは論外です。
ここで一度話を切って、次に進もうとなったら、大胆に改行してください。
さらに読点はとても大切なものです。
作家の文章を試みにみてみましょう。
新聞の記事でもかまいません。
読点を打つ場所は人によって違います。
なぜか。
肺活量の大きな人は読点が少ない。
当然、その反対もあります。
文章を書いていて、苦しいと思ったら読点を打ちましょう。
ここで打たなければ、きちんと読めないと考えたら読点を打ってください。
そうすると、読める文になります。
さらに「てにをは」を正確に。
きっと今まで何度も言われてきましたね。
これが文章力の基礎の基礎だからです。
助詞の使い方をみれば、その受験生の基礎的な国語力がすぐにわかります。
「私は~です。」と「私が~です。」は明らかに文の意味が違います。
どう違うのか。
よく考えてみてください。
特に難しいのは「に」です。
そんなこと知ってるよ。
あたりまえだよという人でも、実際の試験ではミスをかなりしているのです。
最後に幾つか、大切なヒントを。
同じ意味の言葉を重ねて書かない。
ムダな形容詞は使わない。
強調する言葉はその表現の直前に。
婉曲的な表現は使わない。
特に小論文でははっきりと明確に捉えられる言葉遣いが原則です。
何度やってもうまく書けない。
小論文とはそういう性質の科目なのです。
あせってはいけません。
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次回はもっと細かく論点の立て方をお教えします。
ここに書かれていることを1つでも2つでも自分のものにしてください。
必ず道が開けてきます。
信じて勉強を続けてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。