仮面の告白 三島由紀夫 新潮社 2003年6月





何度目でしょうか。その時々に読んできました。
先日、新しく勤める学校の図書館に初めて立ち寄りました。ふと手にとってみる気になったのです。
この作家のものは、どれも特異です。今のような時代にも読者はいるのでしょうか。華美な装飾がこれでもかとついていて、その金モールを全て取り外し、素顔まで覗きにいくのはなかなか至難です。
しかしそこにみえる自我の量は圧倒的です。それ故に興味深いということになるのでしょうか。
今回は園子という友人の妹と、同性の級友にかすかな思慕を抱く心象風景を中心に読み込んでみました。
青年時代というのは、誰にとっても息苦しいものです。それも戦争下であれば、常に死と一体でなければなりません。徴兵検査の場面、疎開先のシーン、その他、いくらでも時代の空気を読み取ることは可能です。
しかしそうしたものを全て取り除いた時、残るのは平岡公威という青年の自意識だけでしょう。
園子との対面の様子や、その後のつきあい、やがて破局へと至る一連の流れは、息苦しいばかりです。
これで当分、この作品を読むことはないと思います。痛々しいというか、息苦しいのです。哀しいといえるのかもしれません。彼にとって生き続けることはあまりにも残酷でした。
あらためて今、強くそう思います。