礼儀こそが命





柳家さん喬師匠が今から10年も前にしたインタビューが、とある下町発信のサイトに載っていました。
いい話だなあ、と思いましたので、ここに再録させてもらいます。
失礼にはあたらないと思いますので…。
この師匠の人柄が実によく出たエピソードだと思います。
さん喬師の人情話にも通じるような気がします。

礼儀について…

例えばご飯食いに行きます。後輩のほうに先に料理が届きます。
お蕎麦だから伸びちゃうから先に食べろよと言います。
お先に頂戴しますって。先輩がああいいよ気にしないで先に食べなさいよって。
そうするとはいっ!って先に食べちゃう。
これは、はい!じゃ駄目なんですよ。
恐れ入ります。有難うございます。お先に失礼します。
そういう言葉があって初めて敬意というものが相手に伝わる。
本来だったら先輩の料理が来るまで伸びても我慢しなければならない。
そこには人が与えてくださった情がある。
それを、はいお先にでは感謝ではない。
それが落語にも通じる。
独りよがりの芸なんか駄目。
いつも自分がへりくだった中でお客さんにわかっていただけることを考える。
それが若いうちから「分かるぅ?」じゃ駄目なんですよ。
どうしても「分かるぅ?」という芸をやりたくなる。
分かっていただけますかという芸をやるようになると、それが普段の礼儀にも出てくるんです。

お弟子さんについて…

例えばギャーと出てきてお客さんがわァーと喜んでいたら、こんな弟子の芸、おれの芸じゃないったってね(笑)。
それをお客 さんが笑ってくださっているのなら、肯定して伸ばしてやらなければいけない。
これを否定したら笑いがなくなってしまう。
お前もう少し抑えたら、ぐらいで しょうね。
相手を否定することは自分が優位に立っている勘違いがあるんですね。
剣道で五段稽古というのがあるのね。
五段と戦って二段 の人がどうやったって適うものじゃない。
五段の人がおれは強いだろうってやったら二段の人は伸びない。
僕も、ああお前そういう考え方をしているのか、なる ほどな、そういうこと気がつかなかったなと、思うようにしてます。

世阿弥の言葉に「上手は下手の手本、下手は上手の手本」という言葉があります。
お弟子さんについての話は、まさにそれにあたるように感じました。