酒とつまみと男と女





昨日はじめてBSジャパンのこの番組をちゃんと見ました。
なぜかといえば、ゲストに噺家が登場したからです。
柳家喜多八、なんと66歳。
ほんとにお酒が好きなんだということがよくわかりました。
奥に座っているのは最初からレギュラーの坂崎重盛という人だそうです。
勿論、ぼくのよく知らない方です。

番組は一之輔が狂言回しになって進む形をとっています。
いつもではありません。
スケジュールのあいた時だけなんでしょう。
他にもMC役が何人かいます。

昨日の舞台は高田馬場。
かつて白酒が学生時代、何度も喜多八を見かけたそうです。
あんなにいつも酒を飲んでいられるんだから、噺家はいい商売だと思ったとか。
実際はそんなに暢気な話ではなかったようです。
そのあたりは、彼らが登場する本を読んでみてください。

さて昨日は噺家二人が本音を次々と酔っ払って喋るという構成でした。
一番面白かったのは、談志が嫌いだと喜多八が叫んだところです。
でも売れたから認めるけどと後から呟いておりました。
志ん朝、談志をけなすのは、あの世界ではかなり重いことのようです。
売れたいとしきりにわめきちらすことも…。

しかし腹の底ではなんでおれの芸がわからないんだと、毒づきたいのではないでしょうか。
一之輔は喜多八の芸を高く評価しています。
それが言葉の端々に匂っていました。
それと同時にあんまり高座で毎日喋っていると、なにがいいんだか悪いんだか、どこに向かっているのか全くみえなくなった、とぼそぼそ独り言のように話していました。

喜多八はしきりに、おまえについた客はおまえの今を見てるんだと言い、おまえの今がなくなったら、客は離れると予言してました。
難しくいえば、同時代性ということでしょうか。
本当に悩んでいるのは一之輔自身だったかもしれません。
とりあえず真打になってここまできたものの、さてこの後、どこへ向かったらいいのやら…。
その彼を真打にしたのは、他ならぬ喜多八の師匠小三治なのです。

芸はいつまでたっても目にみえず、進歩は遅々としたものなのに違いありません。
螺旋階段をのぼるようなものなのです。
あるいは上っていると錯覚しているだけなのかもしれません。
近々、喜多八の本、『喜多八膝栗毛』を読んでみるつもりです。