円生と志ん生





円生が辻萬長、志ん生が角野卓造。いいコンビです。
初演が2005年。こまつ座はいうまでもなく、井上ひさしの芝居しかやりません。というか、そのためにできた劇団です。
ぼくも随分この劇団の芝居は見ました。稽古場にも何度かお邪魔しました。
そこの座付き役者が辻萬長というわけです。

角野卓造は文学座座員。しかしなんともいえないおかしみのある人で、別役実の不条理劇になくてはならない俳優です。
「渡る世間は鬼ばかり」を見たことのある人はすぐにそれとわかるでしょう。

井上ひさしがどうしてこの二人の満州行きを芝居にしたかったのか。
酒が飲めるというだけの理由で大陸に渡った志ん生。
円生は今輔の代役でした。
ソ連兵に追われながら、それでもあちこちで落語会をやりつつ、最後は死を覚悟します。
まったく性格の違う二人が大連の600日間で繰り広げる逃避行を、井上ひさしは愛情をもって描いています。
彼らは日本に戻ってから突然売れ始めました。
特に円生はそれまでの角張っていた芸が練れてきたと言われました。

人間の真実を見、死線をさまよったのが、その理由だとしたら、随分芸というものは非情で残酷なものです。

時に円生45才、志ん生55才でした。

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