桶屋一代江戸を復元する 三浦宏 筑摩書房 2002年9月





 面白い本です。全編が話し言葉で構成されています。檜細工師の子供に生まれ、自らも風呂桶製作者としてあらゆる江戸期の家屋や生活道具を再現してきました。
その深い識見には驚かされます。かつての長屋の風情や吉原、風呂屋、床屋などの様子がみごとに再現されています。湯屋の内部の様子などを詳しく知ることができ、大変いい勉強になりました。
特に二階の構造など見たこともなかったので、なるほどここが噺の舞台になるのだと実感した次第です。
また床屋の内部についてもどこに客が座り、どこで客同士がくつろぐのかということも明らかになりました。
鉋のくずをみれば、すぐにその職人の技倆がわかるのだと言います。それほどに道具と腕は直結していました。江戸の大工の賃金がいくらで、どんな暮らしをしていたのかという細かな話なども興味深いものです。
神棚は三尺六寸五分。これも365日祈るところからきたようです。岡場所がどこにあったのかという話なども面白かったです。特に根津神社近くの話は新鮮でした。
江戸時代の職人達の生き様が、建物を通してよく見えました。