20歳の時に知っておきたかったこと ティナ・シーリグ 阪急コミュ 2010年6月





ふとしたことで手にとった本です。
副題に「スタンフォード大学集中講義」とあります。筆者は起業家コースのイノべーション担当。全米でも高い評価を得ている女性です。
内容はなかなかユニークなもので、ついつい先を読みたくなる構成でした。「ルールは破られるためにある」「問題解決の方法はつねに存在する」「早く何度も失敗せよ」「機が熟すことなどない」
昨今は経営学のこうした関係の本がたくさん出版されています。また似たような内容のものかなと思いながら、読み始めてみたら止まらなくなりました。
とにかくたくさんの事例が載っています。その一つ一つが具体的な実践例なので、飽きることがありませんでした。
授業の内容も公開しています。手元にある5ドルを2時間で増やせという授業で、多くの学生達は何をしたのか。普通なら宝くじを買うとか、ラスベガスに行くとか考えそうなものですが、学生達は常識を疑うところから、解決策を見いだしていきます。
どんなやり方をしたのでしょう。一番多く稼いだチームは元手の5ドルには全く手をつけませんでした。
人気のレストランに予約を入れて、代わりに並んで順番をとるとか、さらに効率をあげるために、無線端末を客に持たせるとか、自転車の空気圧を調べ無料でサービスするかわりに、寄付をお願いしたり、さらには月曜日の3分間のプレゼンテーションの時間に、ある会社のコマーシャルを製作し流したチームもありました。これは他の誰もが気づかない最高の資産でした。その3分に命をかけたグループは実に650ドルを稼ぎ出したのです。
あるいはサーカス団のシルク・ドゥ・ソレイユを例に従来のイメージで構成されたサーカスを完全に否定した新機軸を生み出すまでのドラマなど、たくさんの例が掲載されています。
今までにあった既成概念を取り除くことはそれほどやさしいことではありません。しかしそこからしか、新しいものは生み出されることがないのです。
そのことがくどいほど書き込んであります。接着力が十分でなかった糊からポストイットが生まれた話など、実にユニークです。一番いいと思う内容をすべて否定すること。どうしてもこれではダメだというものの中から、何か新しいものが生まれるという事実。
とにかく示唆に富んだユニークな本です。
経営学の面白さを十分に味わわせてくれるものであることに間違いはありません。一読を勧めます。