貧困大国アメリカⅡ 堤未果 岩波書店 2010年2月





 2年前に出版された『貧困大国アメリカ』につぐ第二弾です。前回のルポは自由主義国アメリカにおける貧困の問題を赤裸々につづり大反響をよびました。ことに、低所得者層における肥満の問題と兵役のテーマはショッキングなものでした。
今もこの問題は少しも解決していないようです。学校での昼食が最も安定した食事であるこの層の人々は、一度に高カロリーのものを摂取する傾向があり、それが肥満につながっていくのです。
さらには安定した職業としての軍隊を望む層も確実に存在し、これが今日のアメリカ軍をその根幹において成立させているということも忘れてはなりません。
さて今回のルポでは学資ローン、企業年金と密接にからむ医療保険のあり方、民間刑務所の実態に迫っています。
どれもが非常に深刻であり、一度転落してしまうと、もう這い上がれないシステムができあがっているという事実を再確認させられました。
学資ローンなども最初は気楽に借りてしまう人もあるようですが、民間のそれは、実に巧みな宣伝で勧誘し、その後少しでも不払いになると、どんどん利息をあげていくという悪質なものが多いようです。
国の資金でやっていた学資ローンはどんどん隅においやられ、いつの間にか、民間のローン会社、サリーメイなどというところが最大の組織となりました。
その社長などには法外な給料が支払われているという実態が報告されています。
さらにGEなどに代表される自動車会社の年金破綻。これにより、再び働かなければ食べていけない人々が大量に路上にあふれることとなりました。さらには皆保険制度をつくると提言したオバマ大統領の実質的な政策上の後退。プライマリケアを担当する医師の不足。製薬業界に牛耳られている医療現場の実態。そのどれもが驚くべき内容です。
また民間刑務所では信じられないような安い賃金で就労させられている事実なども示されています。
自由主義国アメリカはどこへいくのでしょうか。自己責任を標榜し続けてきた日本の未来もここには垣間見えてなりません。
アメリカの深層を知るためにも一読を勧めます。