人生のほんとう 池田晶子 トランスビュー 2006年6月





著者は一昨年、腎臓ガンのため46歳の若さで亡くなってしまいました。『14歳の哲学』という本がかなり広範に読まれたからか、随分大きくとりあげられた記憶があります。
この人の本はどれも人生の深淵を語ったものばかりです。しかもなるべくやさしい言葉で綴ったというところに特徴があるのではないでしょうか。
この本のタイトルもずばり『人生のほんとう』です。ほんとうのこととは何か。それは当然自分が何者かということでしょう。生きているということにはどういう意味があるのか。
あるいは死んでしまうとはどういうことか。宗教、社会、常識、年齢、存在、魂とテーマが次々と語られます。しかし根本にあるのは、人間がここにあるとはどういうことかということです。
ここで般若心経の中にある「空」の観念についてかなり語っています。色即是空の考え方です。
しかし彼女に一番近い宗教はどうやら禅のようで、わかったという瞬間にわからなくなるというメカニズムが、ごく自然だと何度も書いています。
さて本当に人間というものは何なんでしょうか。それはメビウスの帯に似て、どこまでいっても際限のない問いなのかもしれません。
答えがないということが唯一の答えだという人生観を持ち続けることの覚悟も同時に感じました。
想像以上に孤独な、それでいて豊かな道のりなのかもしれません。