四つの嘘 大石静 幻冬社 2005年8月





筆者はNHKで現在放送している大河ドラマの脚本を書いています。元々、二兎社という二人だけの劇団の出身です。かつて「パパのデモクラシー」という芝居を見た記憶が残っています。懐かしいです。
その後、永井愛と彼女はそれぞれ独立。現在に至っているというわけです。
この本は昨年、産経新聞に連載したものを単行本にしたとか。
今までに読んだことのない味わいを感じました。
少しも難しい話ではありません。ジャンルからいえば、中間小説という感じでしょうか。かつて彼女が学んだという女子大の付属高校のイメージが色濃く反映されています。
友人の彼を奪い、子供までなして結婚したものの、やがて破綻。ところが以前の女友達とその元夫がニューヨークのフェリー事故で死んでしまうところから話は始まります。
数人の友人達のそれぞれの軌跡が描かれ、彼らの40年の生涯が解かれていきます。時には子供達の目を通して、時には彼ら自身の目を通して描かれた人生は本当に種々雑多なものです。
後悔をしないといいながら、やはりどこかで過去を引きずり、あるいは男性との恋愛体験をほとんどもたない女医の心の襞も描かれます。
自殺未遂や、家庭教師による輪姦といった衝撃的な事件を超えて、やがて再び彼らが自分の場所に戻っていく様子が展開されます。
女性の視点から描かれているので、こういう風に女の人はものを考えるのかなと、思うところが多々ありました。
タイトルの意味はよくわかりませんが、最後にある母親が娘に語る真実は時代を超えて愛の形を示しているようにも思いました。
数人の同級生たちのその後の人生が、あまりにも違ってしまうことに、あらためて人の運命の不思議さを感じます。
気軽に読めて、しかしそれぞれの人間の生き様を見るという意味では、ちょっと面白い試みかもしれません。
幻冬社という出版社はヒットするものばかりを出すとの評判です。彼女自身もこの出版社と出会って新しい鉱脈を発見したのかもしれません。