下流社会 三浦展 光文社 2005年11月





新聞の広告によれば、すでに40万部が売れたとのことです。今年後半のベストセラーということでしょう。
ぼくはよく売れる本というのを根本的に信じていません。読んでみると案外平凡でつまらないものが多いからです。
しかしこの本はなかなか面白かったです。というのも階層化の問題は今日の日本ではかなり深刻なテーマだからです。どの親の子になるのかを選べないという厳しい現実がある限り、明治維新から幾世代にもわたるこの国の現象を考えるにはいい材料なのではないでしょうか。
しかし新書版ということもあって、かなり興味本位に書かれた部分と、資料が同じ研究機関のものに偏っている点が不満でした。
それでも歌って踊っているばかりの階層はどのような生活をその後するとか、どの地域に住んでいる人間には一定の型があるといった話題は興味あるものでした。
ところでぼく自身がいったいどの階層に属しているのかということが、最後までよくわからないまま、読み終わってしまったのはまことに残念でした。
人間を型に分けてステレオタイプに表現すればするほど、そこから落ちこぼれていく人々が多いのもまた実感に近いものでしょう。
現在、次の総理大臣をめぐる話題もかまびすしいものですが、彼らも数世代にわたる名家の出身者ばかりです。このことはまさに日本が階層化していることの証明かもしれません。
親も子を選べず、子も親を選べないのです。どのように生きていくのか、さまざまな場所で学歴や、職業などと重ね合わせ、この国はさらに複雑な様相を呈していくのではないでしょうか。
フリーターやニートだけではない深刻な問題が、現在深く進行しているのを痛切に感じました。
お金だけではない、生き方の根本的な価値観の差というものが、次第に歴然としてきています。以前のようにそんなにはがんばらない人々の群れが増えていることを再び意識しました。