21世紀のインド人 山田和 平凡社 2004年4月





 偶然ですが、今週のニューズウィークの特集は「インド」です。ちょっと読んで見てください。いろいろな視点からまとめてあるので面白かったです。
さてこの本は偶然手にしたものです。しかしこのところのインド熱にぼく自身も少しやられたのかもしれません。著者はかつて15回もインドを旅したという講談社ノンフィクション賞をとったルポライターです。
とにかく面白い本です。今までにこういう類のものはあまり読んだことはありません。つまりバラ色のインドを描いたというわけではないのです。
彼らの持つ文化のマイナスの側面を実にみごとに描いています。これから仕事でインドへ行く人にとっては必読書だといえるでしょう。
とにかく人にたかるということ、借金のみならず、代金を簡単には払わず、さらに値引きを最後までし続け、隙があれば、逃げてしまうという彼らの不思議な生態をこれでもかと書き込んでいます。
サンプルを送れというので、少し高価な機械でも送ろうものなら、すぐに売り飛ばしてしまうという話も載っています。あちこちの会社にサンプルを送らせ、それを売るだけで結構な収入になるのです。
一番面白かったのは、なんでも食べる人間(特に肉)は最下等の部類に入るということです。カースト上流の人々は皆菜食主義者です。
なんでも食べるかと問われ、イエスと答えたならいい仕事につくことはもう不可能です。
9割の人は最低の賃金で働き、それもさまざまな階級に別れています。家の主人が掃除をしたら、その瞬間から使用人にみくびられ、何をいっても聞いてはもらえません。たとえ自分が落とした皿の破片であっても、自分で片付けることはできないのです。
他者の仕事を奪うことはできません。そして書類にないことは一切しないのです。これは英国が教えた方法だと筆者は言います。
なによりもすぐにストをうつこと。だれも政府を信じていないこと。ありとあらゆることがインドなのです。新しいホテルも数年で廃墟となります。誰も管理という意識を持たないからです。壊れたらもうなおせません。それでいて、マハラジャたちは厳然と存在しているのです。
今日、ITの波に乗り、数多くのインド人達がアメリカを目ざしています。4000人の工科大学新入生枠に20万人受験するのがインドなのです。
さすがの華僑たちもインドでは商売をしません。したくてもできないからです。それくらい難しい国がインドなのです。しかし巨象は今大きな変化の中にいます。
これからの時代は恐らく中国13億、インド10億の民衆の力に負うところが大きいでしょう。
誰もが自分のことを考えつつ、それでいて、さらに貧しいものに施しを与えようとするのもまたインドの素顔なのです。本当に面白くくたびれ疲れ、嫌気がさし、それでいてまた行きたくなる国だといえるのではないでしょうか。
久しぶりに面白い本を読みました。