破産しない国イタリア 内田洋子 平凡社 1999年11月





 なんの気なしに読み始めた本ですが、すごく面白かったです。いくつかの章にわかれていますが、内容はまさにイタリアの持つ底の深さを表現しています。
かなり前に読んだイタリア絶賛の本とは違い、その深層に横たわった彼らの生き方のしたたかさを味わった気がします。
特に年金に関しては以前から羨ましいと思っていましたが、案の定財政は破綻し、今や優雅な年金生活者の姿は極端に減っています。
コネがなければなかなか正社員になれないとか、離婚の現実、大学進学事情、裁判の長期化、さらには移民の実態、もっと悲惨なのは誘拐が一つのビジネスたりうるということでした。
しかしそれでもイタリアはイタリアなのです。どれほど不動産取得が面倒であり、違法建築が数年後には全て認められてしまうという特別措置法があったにせよ、やはりイタリアの奥深さには魅力があります。
どちらを向いても問題の山積しているこの国は、それでも独創性とエネルギーを発揮しながら、進化し続けています。
文章が巧みなのでつい読まされ、後で唸るシーンが多かったことを告白しておきます。
それにしても年金事情がこう短兵急に変えられたのでは、全く先の予測ができません。日本以上にものすごい変化だと思いました。