ファシリテーション革命 中野民夫 岩波書店 2003年4月





 ファシリテーターという言葉をよく耳にするようになりました。シンポジウムなどや、グループワーキングの時などに、司会進行の役割を果たす人のことです。
しか従来の司会者とは明らかにその意味合いが違います。簡単に言ってしまえば、自分は完全な黒子に徹し、しかもそこに集った人々に何らかの気づきを促す役割を果たすのです。
答えを持っている必要はありません。しかしどこへ進んでいったらいいのかという主催者などとの綿密な打ち合わせが必要となります。
アイスブレーキングと呼ばれる場を和らげるための、装置になる必要もあります。
座り方一つ、ものの掲示の仕方一つで、場は大きく変化します。人間は誰でも鎧を背負って、人前に出ます。ファシリテーターはその鎧を上手に引き剥がし、ただ一人の人間として、多くの人々の前に立つ機会を与えるのです。
そのために、呼ばれたい名前をつけ、その説明をしながら場を自然な柔らかさのものにしていく方法なども示されています。
あるいは模造紙のようなものにマーカーで次々と書き込む方法なども紹介されています。
とにかくそこに集った人々が、それまで全く考えもしなかった新しい自分を発見し、関係の中でそれをさらに充実したものにしていくためにはどうしたらいいのかということが、示されています。
こういう類の本はともすれば、方法論だけで語られることが多いようですが、ここには参加型の場をいかに自然につくっていくかという心構えがたくさん示されています。
ファシリテーターに一番必要なものは直感だと言われています。誰にもやさしくあたたかく接するということも大切です。いつも体験を共有するだけの心の広さと、もう一方では時間をつねに意識して、決められた枠の中に納めていく、冷静さも求められます。
学校教育だけでなく、あらゆる場で意味を持つ活動の方法であると実感しました。必ず、どこかで実践してみたいものです。