自己愛型社会 岡田尊司 平凡社 2005年5月





自己愛型社会という表現にひかれて読みました。なかなか面白かったです。欲望と快楽を唯一のモチベーションとする社会が自己愛型社会と呼ばれるものだそうです。
自分がつねに輝いていなくてはならない社会。自分の価値観が最も意味あるものでなくてはならない社会。そのサンプルを筆者は古代ローマ帝国に求めました。パンとサーカスがつねになくてはならなかった社会の終焉はどのようなものであったのか。その栄光と悲惨の歴史をたどります。
さらに極端な個人主義を推し進めたオランダは、今どういう状況にあるのか。
また自己愛型社会の究極の形をとるアメリカを例に出して、筆者はその未来を考えます。9月11日は自分たちの価値観が全てではないと思い知らされた一日であったのかもしれません。成功のためにはなんでもする社会がどのような結末を迎えていくのか。
戦争をたえずすることで、自国に対する愛情を確かめ続けなければならない国家とは何か。
あるいは日本の未来はどのようにすれば切りひらけるのか。少子高齢化社会を迎えつつある日本の将来像は何か。
さまざまな観点から実に面白いテーマの分析が試みられています。
そうした意味で、新しい示唆にみちた一冊でした。