シリコンバレーは私をどうかえたか 梅田望夫 新潮社 2001年8月





 著者は1994年からシリコンバレーに住み、IT関連の仕事をした後、ベンチャーキャピタルを設立した人です。コンサルティングの会社にも所属し、多くのコンピュータ関係の会社を見てきました。
その日常をまとめたのがこの本です。
なぜシリコンバレーなのかとよく訊かれるそうです。3月から11月頃まで、心地よい快晴の続く日が多い土地です。サンフランシスコまで車で数十分、ロスアンゼルスまで飛行機で1時間という立地もすばらしいものです。
なにより全米でもトップクラスのスタンフォード大学が近くにあるおかげで、知的な層が多数住み、民度も高いのです。
そこへもってきて、多数の起業家たちが入り乱れ、いつも新しい仕事や計画を練っているという土地に魅力がないわけがありません。
あっという間に多額の配当を得ることも可能な土地、それがシリコンバレーなのです。お金だけにあくせくしているウォールストリートとは違い、ここにはのんびりした自然もたくさんあるのです。
ベンチャー企業の良さは失敗してもお金を返さなくていい点にあります。みんなが自己責任で投資しているのですから、たとえ事業に失敗しても、自分の実人生を犠牲にする必要がありません。この点が従来の方式とは全く異なる点です。
そうしたいくつもの利点を上手にいかしたのが、マイクロソフトであり、ビルゲイツなのです。
リナックス、モジラとの競争の真実など、面白い記事がたくさん掲載されています。ドッグイアー(7倍速)と言われるIT企業の戦いの激しさの中にいて、それでもシリコンバレーにいると、いかに自分が充実していくかと記述には、大いに真実味があります。
青年期から壮年期に向かいつつあるという、この不思議な空間の持つ魅力をほんの少しだけですが、ぼくも味わうことができました。