日本の生き方 田原総一朗 PHP 2004年12月





 大変刺激的な本でした。
戦後、60年間日本は戦争に巻き込まれることもなく、平和を謳歌してきました。さらに人々は確実に豊かになり、自由が保障され、民主主義の国になりました。
しかしここ数年、世界は大きく揺れ動いています。時代閉塞の現象が、あちこちに見られるようになってきたのです。日本はこれからどこへ向かっていけばいいのでしょう。
一人一人が個となり、力をあわせて何かを成し遂げるということが、極端に少なくなってきました。田原総一朗はたくさんのキーワードをあげて、それを専門家達と討論しています。
どれもが一筋縄ではいかない難問ばかりです。
国益、教育、学級崩壊、少子化、家族、年金、マスコミ、安全保障、そのどれもが大変に面白いものでした。
ぼくにとって筆者はテレビ東京と今日呼ばれている、12チャンネルのディレクターです。ドキュメンタリー青春の中で、いくつも起こった葛藤をそのまま描いた初期の作品は、今でも忘れられません。
その彼が、今最も真剣に悩むべき日本のテーマは少子化の原因となる家族だといいます。この根本が解決しない限り、日本は年金も医療も、さらには憲法も意味をなさないのかもしれません。
マスコミというテーマの中で、どちらの側からカメラを回すかで、まったく違う映像になるということを、何度も彼は書いています。
まさにマスコミの持つ危うい力を告白していると感じました。
新聞とテレビの違いも実に新鮮な視点で書いています。一読しても無駄にはならないでしょう。
というよりも大いなる視点を得たという印象が強いです。