代行返上 幸田真音 小学館 2004年3月





ぼくにとって一番苦手な分野の一つが経済です。特に株に絡む内容はなかなか理解できません。その上、年金の話が加わるともう全く理解の外ということになります。
ぼくたちのもらう年金は基礎年金、厚生年金、厚生年金基金という構造になっているのです。基礎年金というのがいわゆる国民年金と呼ばれるものです。
その次にくる厚生年金の仕事の一部は企業が国の代行をしているのです。その仕事を国に返してしまおうというのが、簡単に言えば代行返上という考え方です。
低金利時代になって何も国の代わりに仕事をしてあげるうまみがなくなりました。以前なら、そこで利ざやを稼げたのです。しかし現在はなんのメリットもなく、仕事を全部国に返してしまうという決断をとる企業が増えてきました。
だが、これも簡単なことではありません。どうやって今まで国の代わりをしていたお金を全額移管するかという問題が残るからです。
国はそれを現金でしなさいと指導しています。すると現実に株券などでもっている企業は持ち株を売りに出すという操作をします。そこで株の暴落ということが懸念されてくるわけです。
と、ここまで書いてみて、ぼく自身もまだ年金のシステムがよくわかっていないことに気づかされます。しかし近年、年金に関する関心は高まる一方です。崩壊の危機だというマスコミの宣伝も効いて、その方面に関する本が大幅に増えました。
この小説もそうした意味では、タイムリーなものかもしれません。企業の内部において、今日年金問題がいかに深刻なテーマになりつつあるのかということを実感しました。
内容は大変に難しいです。経済にかなり詳しくならないと読み込めない部分もたくさんありました。これからも勉強を続けたいと思います。