家族というリスク 山田昌広 勁草書房 2001年10月





今、大変人気のある家族社会学者です。『希望格差社会』が売れています。パラサイト・シングルという言葉を生み出した人です。
全体を通じて、本当に納得しながら読まされてしまいました。3年前の本ですが、状況は全く現在とかわっていません。
家族がセーフティネットにならない社会というのがまさに彼の論理です。不確実な時代の中で、どのように生きていったらいいのかを家族という視点から捉えようとしています。
なぜ、少子化傾向がこれほど強いのか。ニートとか、フリーターと呼ばれる人がなぜこれほどに増えてしまったのか。その一つ一つにメスを入れています。
なかでもぼくが感心したのは、専業主婦というものが、これから激減し、その未来はほとんどないというところでした。企業の体力が落ちている現在、終身雇用とか、年功序列といったものは過去の話になりつつあります。
夫の収入がいつも不安にさらされ、さらにはリストラの可能性も常につきまといます。あるいは3割といわれている離婚の可能性も否定できません。
つまり自らは専業主婦でいたくても、それを周囲の状況が許さないのです。働かなくてもよいという選択肢をとることができなくなっています。以前のように夫について家事をしていれば、収入も伸び安定した暮らしができるという未来はどこにもありません。
いつも不安の中にいなければならないのが、これからの専業主婦ということになります。
若いうちに豊かさを知ってしまったパラサイト・シングルたちは、それ以下の生活を営もうとはしません。自分の生活以上の現実をもたらしてくれる異性があらわれるまで、結婚しないという問題も表面化しています。
しかし彼らに理想の伴侶があらわれる可能性は低く、さらに親の高齢化、住居の老朽化に伴って、ますます出口のない状態になっていくのです。
この本を読みながら、今日の日本が抱えている問題の一端をしみじみと感じました。不平等が加速しつつある現在、若者の労働力をいかに効率的に取り込んでいくかが、大きな問題であると実感した次第です。