舞台は語る 扇田昭彦 集英社 2002年8月





演劇評論家、扇田昭彦による、現代演劇史の試みです。著者はかつて岩波新書で『日本の現代演劇』というすぐれた解説書を書きました。今回のはそれに続くものと考えていいでしょう。
ただし前回のものが、それぞれの時間軸にそって書かれていたのに比べ、この本ではテーマごとに即して語られています。
作品の分析もさることながら、本当にたくさんの芝居を見ていることに、今更ながら驚いてしまいます。
同時代の演劇をこれだけじっくりと見続けた人は、そう多くないのではないでしょうか。
最初にシェイクスピアをどのように日本の演劇は取り込みつつあるのかという興味ある解説があります。
鈴木忠志、蜷川幸雄などの試み、出口典雄の「シェイクスピアシアター」の活躍などが語られます。
さらに唐十郎、寺山修司から始まり、別役実、清水邦夫、井上ひさし、平田オリザ、坂手洋二、鐘下辰男、松尾スズキなどの劇作家、さらにはミュージカルも新たなジャンルとして、別に取り上げられています。
ぼく自身、今でも忘れられないオンシアター自由劇場『上海バンスキング』や宮本亜門作『アイゴット・マーマン』、音楽座、劇団ふるさときゃらばんに至るまでの系譜も読んでいて、懐かしいものばかりでした。
つかこうへい、野田秀樹、三谷幸喜、鴻上尚史たちの活躍についても、かなりの字数が費やされています。資質の違いが笑いの差になる構造の解析などは大変興味深いものです。
また一人芝居の隆盛というコーナーでは、渡辺美佐子『化粧』を懐かしむこともできました。
多くの良質な舞台は、どこまでも想像力を喚起するものです。これからも機会がある限り、芝居を見続けていきたいとあらためて考えました。