韓国の若者を知りたい 水野俊平 岩波書店 2003年5月





著者は現在韓国の大学で日本語の講師をしている人です。いわば外からの目で韓国の若者像を分析したところが、大変新鮮でした。
隣の国、韓国は一見同じような文化圏に属していますが、一歩中へ入ると、その習慣、風俗は日本と驚くほど違います。サッカーのワールドカップなどで、随分親しくなった点も多々あるのは事実です。しかし考え方にかなりの隔たりがあるようです。
その一つが、友達に対する考え方です。韓国の人は親しくなることを急ぐあまり、個人の情報をなんでも知りたがります。初対面でも家族の状況から、学歴に至るまで、こまかく訊くのです。
これには大抵の日本人が驚きます。日本人は親しきなかにも礼儀あり、の姿勢を貫きますが、韓国では親しくなれば、その人の嗜好品(煙草、歯磨き粉)まで自由に使うこともあるそうです。
あるいは、1000ウォン以下のお金なら、返さないこともあると聞きます。さらには約束の時間を守らないこともあるのだとか。
全て親しいのだから当然だという考えなのでしょう。自分の思ったことをはっきり言うのも、曖昧な表現を好む日本人とは異なります。
総じて、日本の方が個人主義的なようです。そのいい例が割り勘でしょう。きちんと最後まで勘定を割って支払うという習慣が、もともと韓国にはありませんでした。最近では少しづつ広がっているようですが、日本のように厳格ではありません。
さらに食事のマナーも違います。基本的に全てお茶碗をテーブルの上に置いたまま、スプーンと箸で食べます。お酒の飲み方も韓国ではコップにお酒が残っている場合、絶対に注ぎ足すことはしません。
また女性がお酌をするという習慣もありません。さらには余らせるほど、たくさん食事を出すということがあります。食べきってしまう量では、相手に対して失礼だということなのでしょう。
この本にはさらに学歴社会の構造や、兵役についての言及もあります。日本以上に厳しい学歴社会の韓国では、夜の10時過ぎまで学校に残って勉強することもまれではありません。
高校まで無試験なだけに、大学の序列が明確にあります。そのため、高校3年生の一年間は本当に大変なようです。
今の韓国社会の構造を知るには大変わかりやすい、いい本だと思います。ぼく自身、初めて知った事実も多かったです。
一読を勧めたいと思います。