ザンビア通信 沼崎義夫 勉誠出版 2002年12月





著者はJICAの医療協力専門家として派遣されたウィルス学者です。実はぼく自身、ザンビア大学を訪問した時、お目にかかったことがあります。
本書はアフリカの医療最前線で長い間働いてきた人ならではの、内容にあふれています。エイズ患者が20%を超える中で、どういう治療をしていけばいいのか。さらにコレラ、赤痢,結核などの重症患者が次々と押し寄せてきます。死んでから、埋葬許可をとるため、病院に隣接した警察署にくる人も多いのです。
彼らは一日に一食シマというトウモロコシの粉を練ったものを口に入れられれば良い方です。あとは水だけでおなかをふくらませます。
タンパク質などを取らないため、抵抗力が大変弱いのです。乳児の死亡率が高いことも悲しい現実です。
処方箋をいくら書いても、薬を買うお金はありません。むしろ今助けられる人から助けるという治療に傾かざるを得ません。
死にかかっている人に施す医療ではないのです。だから人々が暗いのかといえば、そんなことはありません。その日一日だけの命なのです。明日は神のみが知るということでしょうか。
強盗も多いです。ワーカーと呼ばれる使用人も信用はできません。
各家の門には警備員もいます。というより、配置しなければ、安心して生活はできません。警察官の恰好をして襲撃する事件もあるのです。
もちろん、各家の塀は高く、その先には割れたガラスがセメントで貼り付けてあります。
悲しい現実です。同じ道を走って毎日家に戻ることはできません。襲われる怖れがあるからです。
それでも著者はザンビアという国を心から愛しています。それが言葉の端々から伝わってきて、ほっとさせられます。
バオバブの木はアフリカの未来を見ているのでしょうか。ゾウや、ザンベジ川のカバ達はどうなのでしょう。
ぼく自身、かつて訪ねた土地ですので、何もかもが自分のことのように感じられました。
百聞は一見に如かずです。
しかしその前に、本書を熟読して欲しいと心から思いました。
ビクトリア滝とサファリだけの観光で終わってほしくはありません。